次世代の高性能エンジンとして世界中の自動車メーカーが研究開発するものの、実用化には至らなかった「圧縮着火」のガソリンエンジン。それをマツダが世界で初めて実用化したのが、「マツダ3」と「CX-30」に搭載されている「スカイアクティブX」エンジンだ。
従来のガソリンエンジンに対して燃費で20~30%、トルクで10%ほど向上するという。誰もが夢見た技術をマツダだけがモノにしたという意味では、ロータリーエンジンと同じだ。
いったい、スカイアクティブXはどのようなエンジンなのか。CX-30でその走り味をチェックした。
力強さはまるでディーゼル
スカイアクティブXエンジンを試すために借り出したのは、新型SUVのCX-30だ。言ってしまえば、このモデルはマツダ3のSUVバージョン。マツダ3の発売から約5か月遅れとなる2019年10月に発売され、翌2020年1月よりスカイアクティブXエンジン搭載グレードを追加している。
マツダのSUV群の中では、最もコンパクトな「CX-3」とミドルサイズの「CX-5」の中間となる存在だ。全高が1540mm、全幅が1795mmというのがポイントで、日本に多い機械式立体駐車場の高さ(1550mm)と幅(1800mm)より絶妙に小さい。マツダの最新世代のアーキテクチャを、日本で使いやすいサイズでSUV化したモデルと言える。
CX-30は年々、質感を高めているマツダ車の中でも、最も新しいモデルだ。そのため、内外装の質感は相当に高い。
特にデザイン面は兄弟車であるマツダ3が「2020ワールド・カーデザイン・オブ・ザ・イヤー」を獲得したように、CX-30も同様に高いレベルにある。非常に美しいクルマだ。
スカイアクティブXのエンジンはどうかといえば、世界初の先端技術を採用するだけに、これまでにない新しいフィーリングを得た。アイドリング時は音量こそ小さいものの、硬質なノイズが聞こえる。いわゆるディーゼルエンジンのノック音に近い。
そして、走り出しの低回転域の力強さは、まさしくディーゼルエンジンのよう。何も知らされていなければ、「このクルマはディーゼルエンジン車だ」と勘違いしてもおかしくないだろう。
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