地道な研究とあっと驚くアイデアでモノにした夢の次世代エンジンが、スカイアクティブXだ。しかし、生まれたばかりの技術であって、まだまだ不満点もある。
正直に言えば、出力とトルクはそれなりに出ているものの、燃費性能が足りない。見込みでは20~30%の燃費向上と言われていたが、現状ではマイルドハイブリッドを追加しながらも、実質で10%程度。現状ではスカイアクティブDのディーゼルエンジン以下というのは、インパクトに欠ける。
また、エンジンのノイズが大きいという欠点もある。そのためマツダ3とCX-30は、エンジン全体をカプセルですっぽりと覆う対策が必要となった。そして、そうした騒音対策にプラスして、超高圧の燃料系やエアサプライなどの補機類を追加したことで重量は増え、コストも高くなった。
現状では、ディーゼルエンジン車よりもスカイアクティブXの車両価格の方が高く設定されている。ディーゼル車に対して約40万円、素のガソリン車に対して約70万円も高いのだ。
生まれたばかりゆえの“伸びしろ”は大きい
つまり、コストを優先して考えれば、車体価格が安く、燃費と燃料費の安いディーゼルエンジンがおすすめとなる。また、素のガソリンエンジン車は、スカイアクティブXに出力・燃費ともに負けるが、他メーカーと比べれば、それほど悪いわけではない。
それよりもエンジン類の軽さが軽快な走りにつながっている。車両価格の差も大きいため、普通のガソリン車も魅力があるというわけだ。
そういう意味でスカイアクティブXは、買い得感のあるクルマではない。しかし、“世界初”の称号は、かつてのロータリーエンジンと同じように相当に大きいものだ。それに、マツダ3とCX-30に搭載されたエンジンは、スカイアクティブXとして最初にリリースされたもの。スペック的には、かなり余裕を持たせているはずだ。
この先の改良で、性能がどんどん高まることが期待できる。伸びしろは、十分以上に用意されているだろう。今回のスペックだけで判断するのではなく、この先の将来性も考えて評価するべきエンジンだろう。
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