マツダ「SKYACTIV-X」乗って見えた美点と不満 70万円高となる新世代エンジンは買いなのか

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市街地で流れにのって走るときのエンジン回転数は2000回転ほどと低い。しかし、それでも余裕しゃくしゃくで、そのまま流れをリードすることさえ可能。また、アクセルの微妙な操作に対する反応のよさも好印象だ。

そこまではディーゼルエンジンと同じだが、違うのは追い越しなどでアクセルペダルをグッと奥まで踏み込んだとき。ギヤを一気に落として高回転まで回せば、すぐに5000回転を超えて、最高出力を発生する6000回転に届く。

最高出力:132kW(180PS)/6,000rpm、最大トルク:224N・m(22.8kgf・m)/3,000rpmを発揮(筆者撮影)

回転が高まるほどパワー感が増す、いわゆる“伸び感”は、まさしくガソリンエンジンそのもの。高回転まで回しても、パワー感はそのままというディーゼルとは異なる。ディーゼルのように下が力強いのに、上ではガソリンのように伸びやか。ディーゼルとガソリン・エンジンの特性を併せ持っているのだ。

最高出力は180馬力、最大トルクは224Nm。WLTCモード燃費はFFの6ATモデルで16.8㎞/L。従来からあるガソリンエンジンの「スカイアクティブG」よりも、馬力もトルクも上でありながら、燃費性能さえもスカイアクティブXは勝る。

ディーゼルの「スカイアクティブD」と比べると、最高出力はスカイアクティブXが上だが、トルクと燃費はディーゼルが勝る。ただし、高回転のフィーリングの良さは、ガソリンのスカイアクティブXの方が好ましいというのが、個人的な感想だ。

スカイアクティブXの何が画期的なのか?

スカイアクティブXエンジンのこれまでにない点は、燃料の燃やし方にある。従来のガソリンエンジンは、点火プラグの火花によって燃料のガソリンを燃焼させていた。これに対して、スカイアクティブXは圧縮による圧力と熱によってガソリンを燃やす。

なぜ、そうした燃焼方法を目指したのかといえば、燃料をできる限り薄い状態で燃やしたいためだ。

今回の試乗車はATだったが6速MTもラインナップする(写真:マツダ)

燃料を薄くして燃やすことは「リーン燃焼(リーンバーン)」と呼ばれ、燃費向上のための手法として、多くの自動車メーカーが採用している。しかし、燃料を薄くしすぎると、点火プラグの火花では、燃料すべてをうまく燃やすことができなくなる。

そこで、次なる手として、空気と燃料を混ぜて圧縮し、高圧・高温にして燃焼させようというアイデアが生まれた。それが「HCCI(予混合圧縮着火)」という技術だ。

次ページ不可能を可能にした「逆転の発想」
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