浦和レッズ「厳しい経営」で見出す新機軸の実情 コロナで激減した入場料収入をどう取り戻す?

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「2年連続赤字というわけにはいきません。収入と支出のバランスを取りながら、少しでも数字を引き上げていけるように知恵を出し合っていきます。もちろん現場のほうも『3年でタイトルを取れるチームにする』という3年計画の2年目。大槻毅監督が退任し、新監督が就任しますが、ファン・サポーターのみなさまに納得していただける戦いを求めていきます」と山西取締役も語気を強める。

本拠地・埼玉スタジアムの活用

サッカークラブは勝ってナンボという部分は大きいが、地域の人々に生きる勇気や活力を与えるという意味合いも大きい。その観点で言えば、本拠地・埼玉スタジアムの有効活用もより一層推進していくべきだ。

今年から埼玉スタジアムの指定管理者は浦和レッズを含めた「埼玉スタジアム2002公園マネジメントネットワーク」が担っているが、今後はクラブがホームスタジアムとしての強みを最大限に活かせる方向に持っていければ理想的だ。

海外のサッカークラブを見ても、欧州最大級の収容規模を誇るバルセロナの「カンプノウ」やレアル・マドリードの「サンチャゴ・ベルナベウ」などはみなクラブの所有。だからこそ、独自のビジネス展開ができるのだ。浦和の場合も年末のクリスマスイルミネーションやスタジアムツアーなどで一歩を踏み出しているが、将来的にはさらなるアクションが期待される。

もちろん、浦和レッズの強みは、他(た)を圧倒するファン・サポーター層とスタジアムの雰囲気。コロナ禍でその強みを消されている中でたゆまぬ努力は非常に重要だが、最終的には満員で熱気あるスタジアムを復元すること。それをクラブに関わる全員が強く望んでいる。

こうして経営が安定化すれば、地域にとってもJリーグ全体にとっても大きなプラスと言っていい。不要不急と考えられるかもしれないスポーツ界にとっては逆風が吹く厳しい時代ではあるが、浦和レッズが経営再建の手腕を示してこそ、Jリーグの未来も開けてくる。2021年はまさに正念場だ。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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