戦前は寛容だった?「浮気とお金」の奥深い歴史 妾を持つことがある種のステータスだった
まあこうなってくると、社員も社長に負けてられません。会社の経費を使ってシロウト愛人を囲う術を考えます。
「アパート代で愛人を囲う遠距離社員の〝生活の知恵〟」というノウハウが載ったのは1971年11月4日号の『週刊アサヒ芸能』。都内一流企業勤務の30代営業マンは、妻子のある身でありながら、取引先の受付嬢に家賃1万6000円のアパートを借りてやり、愛人にしています。
手取り7万円の彼にそんなことができるのは、麻雀の腕がプロ並みであることに加え、接待で深夜になると自宅のある茅ヶ崎までのタクシー代が会社から支給されるから。そんなとき彼は、妻にはホテルに泊まると連絡し、愛人のアパートに泊まります。月に2万5000円ほどになるタクシー代はまるまる自分のふところに。
「愛人を持つための基礎知識」が雑誌に掲載
ほかにも『現代』1972年11月号には、「安くて楽しい〝お妾さん〟入手テキスト」なんて記事が堂々と載り、平社員の読者諸氏が愛人を持つために必要な基礎知識を伝授しています。
同年12月8日号の『週刊サンケイ』「現代メカケ考」は政治家が愛人を持つことに批判的な識者の意見を紹介しつつも、ツヤダネ(艶種)が人間的魅力に転化するほどの人物であることが男の甲斐性ではなかろうか、と締めくくり浮気を擁護します。
このあと、中ピ連(中絶禁止法に反対し、ピルの全面解禁を要求する女性解放連合)というウーマンリブ団体が男の浮気や不倫を激しく糾弾して話題となったのもつかのま、あっというまに下火になります。
それどころか1980年代になっても浮気の炎は鎮火せず。愛人への手当てを会社の経費から3年間で600万円払っていた社長や、愛人への手当てを捻出するために裏帳簿を作っていた社長が国税庁の調査であきらかになったなんて記事が新聞紙面を飾ります。男は浮気のためとなると、創意工夫にとことん情熱を傾けられるのです。
ここまで、社長と社員についてお話ししてきましたが、じつは国会議員も同じことをやってました。1951(昭和26)年から議員の歳費と秘書の給与がほぼ倍に跳ね上がりました。するとその途端、愛人を秘書にする議員が続出、どう見ても秘書とは思えないケバい女が国会内をやたらとうろつくようになったと、新聞雑誌が報じています。
国会議員は国のカネで、社長と社員は会社のカネで、愛人とよろしくやっていました。これが昭和という時代だったんです。
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