日本も他人事ではない米国「医療崩壊」の深刻度 地元病院に空きがなく600キロ移送される例も

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ところが、何カ月と計画を練り、対策を進めてきたにもかかわらず、アメリカでは大半の病院が患者の急増に打ちのめされている。病床の余力は消え、看護師や医師の不足も深刻化。緊急治療を必要とする患者の転院や救急外来の搬送受け入れを断る病院も出てきている。

コロナの感染率は看護師など医療の最前線で働く人々の間でも上昇。現場の負荷増大に輪をかけている。

終わりはまるで見えない。パンデミックはアメリカ全土に広がり、感染者数はすでに1300万人を突破。専門家は、先日のサンクスギビング(感謝祭)休暇で感染拡大のスピードが一段と速まり、医療の逼迫に拍車がかかる可能性があると警告している。

アメリカのコロナ入院患者は9万人を上回り、過去最多を更新。1日当たりの新規感染数も増える一方で、ついに20万人を超えた。

人々は問題の深刻さを理解していない

医療システムは「崩壊寸前」──。バイデン次期大統領のコロナ対策チームのメンバーに指名されたマイケル・オスターホルム博士は11月、あるポッドキャストでこう語った。

オスターホルム氏によれば、人々は問題の深刻さを理解していない。「病床が見つからず、救急救命室で患者が10時間待たされたあげくに待合室の椅子で次々と死んでいくような状況」になるまで、人々の意識は変わらないかもしれないと言う。

マディソンにあるUWヘルス・ユニバーシティー病院(ウィスコンシン大学付属病院)を受診したファインさんが目にしたのは、患者の対応に忙殺されて気もそぞろとなった医師たちだった。「病室に空きがなかったので、私は(ストレッチャーに乗せられたまま)廊下に置き去りにされた」とファインさん。症状はその後、帯状疱疹だとわかるが、両目に危険が及ぶほどの重症だった。

パンデミックが原因で、毎年受けている健康診断や帯状疱疹の予防接種を受けられずにいたそうだ。

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