広がる自転車通勤、環境と健康に貢献だが意外なリスクも潜む

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 奨励金や、社内「エコポイント」などの特典を与えるなど、通勤手段の切り替えを推奨している以上、一定の責任を追及される可能性は十分にある。そうでなくても、自転車が原因となった交通事故への処罰はより厳しくなる傾向にある。歩行者との接触事故で、転倒した歩行者に重度の後遺障害が残り、5000万円もの賠償金支払いを命じられた例もあるのだ。

会社側が自転車通勤を推奨している以上は、事故の責任を個人にのみ帰する、という論理は通用しないと考えたほうがよい。倫理的な側面からも、企業イメージに傷がつきかねない。こういったリスクを勘案し、通勤だけでなく業務上の自転車利用も含めて全面的に禁止している企業もあるほどだ。

今後、自転車通勤の導入を検討している企業は、少なくとも対象者への基本的な交通安全教育と、保険加入などのリスクヘッジ体制は整えておく必要がある。

(シニアライター:小長洋子 =週刊東洋経済)

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