パナソニック「持株会社化」でも見えぬ成長戦略 事業整理を継続し、収益力の回復が最優先に

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電機大手の中でソニーや日立製作所などが構造改革で総花的経営から脱して高収益企業に変身する一方、パナソニックは成長の中核事業を生み出せず、周回遅れなのは否めない。実際、現在のパナソニックを支えているのは消費者向け中心の家電だ。

もっとも津賀氏も手をこまぬいてきたわけではない。アメリカの電気自動車大手テスラ向けの電池事業を軸にした車載関連事業を「高成長事業」に掲げて注力。だが、2020年3月期に466億円の営業赤字を計上するなど、想定通りにいかず、同事業は収益性改善を目指す「再挑戦事業」に格下げされた。

絶大な信頼寄せられる新社長

この再挑戦を引き受けたのが、次期社長となる楠見氏だ。1989年に楠見氏が入社した際の上司が津賀氏だったこともあり、両氏の付き合いは30年以上になる。「津賀社長は楠見氏のことを、製品立ち上げからマネジメント、交渉まで何でもできる『オールラウンダー』として高く評価し、信頼を寄せている」(パナソニック幹部)とされる。

実際、楠見氏はプラズマテレビ撤退に際して、当時テレビ事業部長を担当。車載関連事業に関しても角型電池事業のトヨタ自動車との合弁事業化などの交渉を主導。テスラ向けの車載電池も軌道に乗り、直近の2020年7~9月期には車載関連事業で51億円の黒字に転換させるなど、津賀氏を支えながら実際に成果を出してきた。

今回の社長交代について津賀氏は、「社外の方たちが中心の指名・報酬諮問委員会で決まり、私が決めたわけではない」と強調したが、「次期社長として、経験を積ませていたのではないか」(前出幹部)との見方もある。懸案だった車載関連事業の黒字化もあり、社長交代のタイミングを迎えたとの声も出る。

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