トラック運転手「低報酬」強いられる危機の現実

コロナ禍の経済情勢変化で需給バランスが崩壊

ライフラインを守って働いている彼らの就労環境が、かなり厳しくなってきている(写真:mits/PIXTA)
「巣ごもり」需要により通販事業は活況で、荷物を運ぶ運転手は多忙を極めている。一見、ドライバーの売り手市場に思えるが、新型コロナで産業構造が変化し、労働力の需給バランスが崩壊。運転手の条件は日に日に厳しくなっているという。物流ジャーナリストの刈屋大輔氏は著書『ルポ トラックドライバー』でドライバーに「同乗取材」し、その実態を詳らかにした。
「トラック運転手を追い詰める心ない消費者の声」(2020年11月19日配信)、「東京-大阪『運賃6万円も』トラック運転手の苦悩」(同11月26日配信)に続いて同書より一部を抜粋しリポートする。

中小零細の運送会社の仕事量が激減

新型コロナでとくに大きな打撃を受けているのは、実運送を担ってきた中小零細のトラック運送会社だ。元請けからの相次ぐ減車要請で仕事量が激減している。

外資系物流会社のルート集配業務に下請けとして2トン車数台を投入してきた、あるトラック運送会社の経営者は、「3月中旬以降、およそ2週間おきに1台のペースで減車を余儀なくされている。元請けからは、物量が正常化するまでの一時的な措置だと説明を受けているが、コロナが長引けば、最終的に仕事がゼロになることも覚悟している」という。

コロナ・ショックは軽トラの「一人親方」たちにも暗い影を落としている。とりわけ企業配に軸足を置いてきた軽トラ会社の状況は深刻だ。2トン車と同様、度重なる減車を強いられている事業者も少なくない。

軽トラ4台を保有し、自らもハンドルを握る、ある経営者は「元請けから『自社車両の活用を優先したい』と言われ、業務委託の一時停止を打診された。一度は食い下がってみたものの、『1個運んでいくらの個建てでもよければ』という話で、需要が先細りする中では個数的にペイしないことは明らかなため、いったん手を引くことにした」と説明する。

新型コロナによる経済活動の停滞でB2B貨物が一気に冷え込んだのとは対照的に、企業と個人間の取引であるB2C貨物の荷動きは「巣ごもり消費」の拡大で急伸している。ネット通販や生協などの食材宅配、ネットスーパーといったサービスでの宅配需要が旺盛だ。物量は平時の1.5倍から2倍程度にまで膨れ上がっている。注文増に対してドライバーや車両の確保が追いつかず、納品(配達)までのリードタイムに遅れが生じているケースも見受けられる。

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