トラック運転手「低報酬」強いられる危機の現実 コロナ禍の経済情勢変化で需給バランスが崩壊

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結局、このドライバーも「30%ダウンを受け入れることにした。荷動きが回復したら、すぐに企業配の仕事に戻れるように、とりあえず3カ月間限定の業務委託契約を結んだ。ただ、コロナが収まったとしても企業配の荷動きや売り上げがすぐに元通りになるかどうか……」と先行きの不安を口にする。

ネット購買や買い物代行の拡大で個人宅への配送ニーズが増えている食品スーパーや量販チェーンの店舗でも、外部の配達員に支払う業務委託料を低く抑える傾向にある。未経験者を含め、配達業務の担い手を見つけやすい環境になったためだ。

車輌持ちこみ、10時間以上の拘束で1万2000円程度

業務用食材のルート配送業務に従事していた、ある軽トラドライバーは、飲食店の営業自粛に伴い仕事量が激減したのを受けて、同業の仲間からネットスーパーの配送の仕事を紹介された。すぐに商談の場を設けてもらったものの、あまりにも低い委託料の提示に憤慨して帰ってきたという。

「車両持ち込み、10時間以上の拘束で、委託料は1万2000円程度。相手はレジ打ちや品出しのアルバイトを雇うような感覚だった。聞けば、それでも引き受けるドライバーもいるという。とても話にならないので、その場でお断りさせてもらった」

政府の緊急事態宣言下でも、国民のライフラインを守るという使命感から、トラックドライバーたちは日々、ハンドルを握り続けてきた。その姿は医療従事者らと同様、社会から高く評価された。

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しかしその一方で、コロナ禍による景気後退で需給バランスが崩れてしまったため、今後トラック運送会社の収益性は悪化することが予想される。コロナ感染のリスクに常に晒されながらも、街中を走り回っているトラックドライバーたちは、限られたパイの奪い合いが激化し始めたことで、再び苦境に立たされようとしている。

運賃収入が減れば、当然ドライバーたちの報酬にメスを入れざるを得ない。待遇が悪くなれば、ドライバー職に就く人材はこれまで以上に集まりにくくなる。コロナの影響で職を失った人たちが一時的にトラックドライバーに流れてくる可能性もあるだろうが、それは求人のある他業種よりも就労条件がいいことが前提となる。3K仕事であるトラックドライバーという選択肢は、常に下位にランク付けされることに変わりはない。

刈屋 大輔 物流ジャーナリスト、青山ロジスティクス総合研究所代表

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かりや だいすけ / Daisuke Kariya

1973年生まれ。青山学院大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。経営学修士号(MBA)。物流専門紙『輸送経済』記者、『月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI‐BIZ)』副編集長などを経て現職。一般社団法人フラワーリボン協会常務理事。

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