長距離ドライバー、「基本給7.5万円」の過酷な実態 過重労働を強いられるが、報酬は上がらない

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いま現場を変えなければ、日本の物流は崩壊しかねない(写真:坂本昭/アフロ、デザイン:小林由依、池田梢)

2年前まで長距離ドライバーだったAさん(40代男性)は、合計10年以上トラックドライバーとして働いてきた。現在は近距離ドライバーだが、数年ほど在籍した関東の中小運送会社では、主に関東と関西を往復する長距離輸送に携わってきた。

そこでのAさんの勤務時間は不規則だった。早朝から荷物を積み込み出発することもあれば、夕方に出勤して深夜の高速道路を走ることも珍しくはない。Aさんは「すべては荷主次第。荷主の指定する到着時間に合わせて、出勤時間が決められた」と話す。

関東─関西間の輸送はおよそ3日がかりの大仕事だ。例えば関東であれば埼玉県や東京都など、各エリア内の複数地点で集荷するため、走行距離は往復で1000キロメートルを超えていたという。

退勤後わずか30分で再出勤

5月16日発売の『週刊東洋経済』5月21日号では「崖っぷちの物流」を特集。過酷なトラックドライバーの働き方や多重下請け構造の弊害などに焦点を当てた。

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冒頭のAさんの働く実態は、まさに想像を超える過酷なものだった。

2018年6月、Aさんは5日間で2度長距離を往復した。実は関東─中部の長距離輸送を終えた3日目の午前に、Aさんは1度退勤している。ところが、そのわずか30分後に再度出勤し、今度は関東─関西の長距離輸送を開始しているのだ。

このときの総労働時間は51時間。初めて休憩を取ったのは、業務を開始して約11時間が経過してからだ。休憩は高速道路のパーキングエリアやサービスエリアで取っており、1度の休憩が10時間を超えることも珍しくない。

Aさんは「渋滞に巻き込まれるリスクも想定し早めに移動していたが、指定時間より早く到着すると、荷主への迷惑になってしまう。だから、目的地に行きやすいパーキングエリアなどで休憩して時間を潰していた」と語る。

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