トラック運転手「低報酬」強いられる危機の現実 コロナ禍の経済情勢変化で需給バランスが崩壊
減車を余儀なくされた下請けのトラック運送会社は、コロナ騒動の長期化をにらんで、車両の預け先を見直し始めている。部品メーカーの複数事業所を巡回集荷して工場にJIT(ジャストインタイム)納品する業務を展開してきた、ある中堅トラック運送会社では、荷主からの減車要請を受けて、「2トン車は小売店舗向けルート配送の仕事に、10トン車は宅配便の拠点間輸送の仕事に、といった具合に、コロナ下でも荷動きが堅調な領域に常用トラックの預け先を変更した」(同社の配車担当者)という。
一方、軽トラ業界では、大手宅配便会社やネット通販会社、食品スーパーの店舗から委託される個人宅への配達などB2C向け業務へのシフトが加速している。もともと軽トラ会社の中には、不在による再配達が多く、非効率なB2C向け業務を敬遠する事業者も少なくなかった。しかし、企業配の荷動きは回復のメドが立たないため、「いまは宅配の仕事に頼るしかない」(都内の軽トラドライバー)のが実情だ。
30%ダウンの委託料を提示され…
このように、コロナの影響で仕事を失った実運送会社の多くは、やや不謹慎な表現かもしれないが、「コロナ特需」によって荷動き拡大が続いている領域に軸足を移しつつある。もっとも、元請けサイドの対応は非常にシビアで、下請けへの業務委託料の水準はコロナ前に比べ低下している。
例えば、ある軽トラドライバーは、かつて所属していた大手宅配便会社の営業所に下請けとしての復帰を打診したところ、従来よりも30%ダウンの委託料を提示された。
配車の担当者は、値下げの根拠として、燃料代が安くなっていることや、受領印をもらわずに玄関先などに荷物を置く「置き配」が許容され、対面での荷受けが減って配達業務の生産性が上がっていることなどを挙げてきたという。
加えて、営業所には、未経験ではあるものの、コロナで休職中だったり、職を失った求職者が殺到している。人手不足の状況が一転し、今後しばらくは安い労働力の確保が見込めるため、元請けは軽トラ会社に対し強気の姿勢を示すようになったようだ。
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