好調ワークマン「アマゾンをやり過ごす」3秘策 オイシックス執行役員と語る今後の戦略

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角井:政策にすごい芯が1本通っていますね。奥谷さんのところは、ミールキットをアマゾンフレッシュからも提供しています。どこかで対アマゾンという考えもあるわけですか。

「アマゾンと同じ土俵では闘わない」と語る奥谷氏(写真:イー・ロジット)

奥谷:そうですね。ただ社長の高島(宏平)と話していても、「アマゾンと同じ土俵では戦わない」という感じでしょうか。そもそも(アマゾンのようには)早く運べませんし。

結局のところ、われわれの強みは何かというと、意外と弱みのように見える物流じゃないかと思うんですね。

3温帯対応、いわゆる食品スーパーのバックエンドのような物流を持っているわけです。

加えて、テクノロジカルなものというよりは、「オイシックスが培ってきた物流」というもの、ヤマト運輸との協業も大きいですが、鮮度が高く、おいしいまま届けられるということが大きいと感じています。だからこそ「少し待ってでも、買いたい」という価格設定にしていくということも大事になっています。

リアルの売り場ということに関しては、今は自前でお店をつくるというよりは、商品力の高い「Kit Oisix」というプロダクトを販売提携先に一回卸していくことによって、サブスク(定期配送のサブスクリプションモデル)では拾いきれないお客様をケアしていくことでしょうか。

アマゾンは今のところ日本にリアル店舗がありませんから、そうしたおとなしいかたちで「なるべく勝たない」という考えです。「勝つ、負ける」ではなく「戦わない」で済ませる。そのためには、われわれ自身のブランディングやマーケティングが重要だと思っています。

デリバリーは「誰得?ビジネス」

角井:ワークマンも、オイシックス・ラ・大地も、お互いこのコロナ禍でも大きく伸びた会社ですが、根本部分では、リアル店舗からきている会社とネット通販からきている会社という違いがあります。

私の感覚でいうと、コロナ禍によってこれまでネット通販とかデジタル化に躊躇していたところが、「もう踏み込まざるをえない」というところにきたのかなと思います。

奥谷:食に関しては、飲食店系が淘汰もされながら、いろいろな意味でデジタルを活用していくと思います。ただウーバーイーツや出前館に頼ったデジタル活用は「あれって、誰得?ビジネス」と、僕はよく言うんです。

お客さんにとっては便利ですが、飲食店は35%もフィーをとられて、彼ら(デリバリー事業者)は彼らで、シェア争いで儲かっていないと言われています。ネットスーパーもそうですね。頑張っているけれど、なかなか収益化につながらない。

そうした状況に対し、僕らの会社が何かできないかと考えています。テクノロジーの開発といった分野で、われわれがリードしていくというのもありますし、「Oisixおうちレストラン」(人気飲食店の看板メニューを、家庭向けに食材化したもの)のように、家庭でレストランの味を食べられるようにしていくというのも大きなミッションです。

それは「Kit Oisix」のさらなる付加価値向上にもつながるでしょうし、デジタル活用の流れを止められないのであれば、われわれがいかに食に関する業界をリードしていけるかということが、生き残る戦略なんじゃないかと考えています。

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