「ブルーライトメガネ」が超売れた意外な理由 行動経済学でわかる「ヒット商品」の作り方
今、最もホットなビジネス理論の1つである「行動経済学」。2017年にリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞(2002年にもダニエル・カーネマン教授が行動経済学で同賞を受賞)したのをきっかけに、改めてクローズアップされ、行動経済学の各種理論を解説する書籍も数多く刊行されるなど、今もなお継続的に注目されています。
そんな中で、政府も行動経済学を政策に採り入れようとする動きがあります。2019年に、経済産業省内に「METIナッジユニット」が組成され、セイラー教授が提唱している「ナッジ」の政策導入検討が始まったり、新型コロナウイルス対策の専門委員会メンバーに、日本の行動経済学の権威である、大阪大学の大竹文雄教授が任命されたりと、ようやく脚光が当たり始めた感があります。
なぜ「行動経済学」が普及しないのか?
注目が集まり始めている行動経済学。理屈が何となくイメージできたならば、次に考えるのは「マーケティング戦略」への活用です。それが、人間の心理を踏まえて人を動かしていくアプローチならば、概念的にマーケティングが最も近い場所にあります。逆にここにブリッジがかからないと、活用の範囲は大きく狭まります。
行動経済学の教科書やWebサイトに載っている、わかりやすい事例をみると、転用することは何となく簡単なように思えます。しかし、それが十分にマーケティング領域において活用されているかどうかと言えば、正直まだまだ十分でないと考えます。今の時代において非常に重宝しそうな反面、十分に普及していないのはなぜでしょうか。
その阻害要因として、以下の3つの仮説が考えられます。
行動経済学では、とにかく1つひとつの理論に難解な名前が施されています。「ツァイガルニック効果」「エンダウド・プログレス効果」「ヴェブレン効果」……など、一度それを聞いただけでは到底覚えられません。さまざまな学者が理論を発表しているがゆえ、仕方ないことかもしれませんが、あまり現場での運用を考慮している印象はありません。
いろいろな理論はありますが、部分と全体、総論と各論の関係などでうまく整理されておらず、たださまざまな理論が野放図に並んでいるだけ……という印象があります。さまざまな理論を体系的に纏める人がいなかったということが要因でしょうか。さまざまな理論の中で、どれが「より確からしい」と認められているのかもやや不安です。
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