「存在しない国番号」詐欺電話、驚きの巧妙手口 詐欺電話対策会社に直撃、その手口を聞く

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存在しない国番号からの電話のうち、被害が明らかになっているケースでは発信者は中国語を話し、何らかの理由をつけてATMへ誘導し入金させるという手口が用いられた。日本人にとって、中国語がわからなければ被害には至らず単なる「謎の電話」で終わるだろう。しかし、ここで使われた技術に新たな手口を組み合わせた場合、ターゲットは日本人にまで広がる可能性が出てくる。

前出のtellows担当者の指摘によると、存在しない国番号からの電話というのは番号の偽装であり、存在する国番号も表示できる。つまり、日本からの電話だと思わせる偽装も可能だということだ。またこの種の国際電話を利用、もしくは国際電話であると偽装した詐欺には以下のような手口も考えられるとtellows担当者は話す。

まず、折り返し電話をさせて高額な通話料を請求する「国際ワン切り詐欺(国際コールバック詐欺)」。単純なワン切りで折り返しを待つものから、さらに留守番電話に「家族が事故に巻き込まれた」「懸賞に当選した」など折り返したくなるようなメッセージを入れて、電話をさせるという手法もあるという。

国番号の偽装、自動音声ガイダンスによる詐欺も

そして自動音声ガイダンスによる詐欺も考えられるそうだ。これは自動音声ガイダンスで、着信先にボタンでの回答を求める質問を行い、巧みに個人情報を引き出すというものだ。

もし、詐欺犯が発信番号を日本の番号と偽装し、日本語の留守番電話メッセージや音声ガイダンスでアプローチしてきたら、はたして詐欺電話であると見抜けるだろうか? 相手の手の内を知らなければだまされてしまうかもしれない。

電話番号の表示は本来なら防犯対策としても機能するはずだが、それさえも悪用できるとは電話詐欺の手口の巧妙化が感じられるだろう。自衛には私達も手口に関する情報をアップデートすることが必要だ。そのうえで、被害にあわないためにまず心当たりのない電話にはすぐには出ないこと、かけ直す際にはその着信番号が信用できる番号かどうか確認すること、そして万が一出てしまっても詐欺の可能性を頭において冷静に対応することが重要である。

沢井 メグ ジャーナリスト

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さわいめぐ / Megu Sawai

大阪教育大学卒。上海・同済大学に留学、学校法人で中国語通訳・翻訳、2010年上海万博日本館での勤務を経てライター / 編集者となる。2020年に独立。東洋経済オンラインで台湾の経済誌『今周刊』の翻訳を行うほか、中国・台湾エンタメや文化、時事ニュースなどを中心に多数執筆、翻訳。イラスト制作も行う。また自身の地方移住や双子育児の経験を元にしたコラムにも取り組む。 主な訳書にルアン・グアンミン著『用九商店』、毎日青菜著『DAY OFF』、『TAIWAN EYES GUIDE FOR台湾文創』翻訳パート(共にトゥーヴァージンズ刊)。Twitterアカウント @Megmi381 / Instagramアカウント @megmi381

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