冗談ではなかった「テトラ型スピーカー」の正体 エレコム社員が楽しんで作ったらこうなった

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「テトラポッド型のスピーカー」を作ったエレコムの社員たち。趣味のような仕事のような、その取組みについて聞きました(写真提供:エレコム)
この連載では、社業を極める「オタク」たちに焦点を当てている。そこに“好き”を仕事にするためのヒントがあると思うからだ。
今回インタビューしたのはエレコムの石川孟澄さんと山目悠貴さん。同社は2020年のエープリルフールにツイッターで「テトラポッド型のスピーカーを発売する」とウソのような情報を流した5時間後、「本当に発売する」と発表。クラウドファンディングはわずか1時間で目標を達成した。このスピーカー、プロモーションの妙だけではなく、形も美しい。テトラポッド好きが独断専行で始めた企画だというが、どんな人物が作ったのか。“テトラポッドオタク”に話を聞いた。

3年半前の社内コンペから企画がスタート

波が押し寄せる海辺に並ぶ、消波ブロック。その代名詞ともなっているのが、テトラポッドだ。かわいらしくテトラと略して呼ばれることもある。

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そんなテトラポッド型のスピーカーを作るという、個性的なプロジェクトの中心となったのは、プロダクトデザイン担当の石川氏。ただし彼はテトラポッド好きではあるが、オタクというほどではない。ところがある日、社内に“テトラポッドオタク”がいたことが判明。石川氏を強力に支えてきたという。その人物が山目氏である。

──“ウソからでたまこと”のように発売された商品でしたが、一朝一夕で作れるものではないですよね。いつ頃から準備をしていたのですか?

エレコムの石川孟澄さん(写真提供:エレコム)

石川:3年半ほど前です。社内でBluetoothスピーカーのアイデアを公募するコンペがありました。そのとき通った企画がテトラポッドスピーカーです。当時、自分は入社1年目でした。それから、外観のデザインをしたり、モックアップを作ったりを繰り返して、ようやく2019年にフィックスできるレベルになりました。

──そこまで形ができていたのに、クラウドファンディングを使ったのはどういった狙いがあったのでしょう?

石川:当初は、量販店で売るという話もありましたが、プロモーションをどうするか社内で意見を集めたところ、「そもそもネタに走っている企画なんだから、エープリルフールにツイッターで流して話題にしてから発売してはどうか」というアイデアが出ました。そこが決まってからは、売るタイミングと場所は自然に決まっていきました。資金調達の意味合いはなく、プロモーション強化の一環としてクラウドファンディングサイト“Makuake”のサービスを利用したという認識です。

──達成しなかったらどうしよう……と不安はありませんでしたか?

石川:Makuakeには方式が2種類あります。今回「オールイン」を選んだので、この場合は、目標金額に届かなくてもお金を払ってくれた人には商品を届けます。とはいえ、4月1日はもう、1日中業務が手につかなかったです。不安な気持ちでいっぱいでした。

山目:私もあの日は画面に張り付いていました。達成したときはうれしくて「石川くん、超えたよ」と、すぐに連絡しました。テトラポッド好きが世の中に僕しかいなかったらどうしようかと思っていたので。

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