資生堂、銀座の「スゴい旗艦店」が担う重大使命

化粧品は合成技術でお試し、買い物かごも不要

これまでも化粧品メーカーは、テナントの1つとしてデパートなどに入居する一般店舗とは別に、独自色の強い旗艦店を出店してきた。狙いは店舗の内装や体験型のサービスを通じて、自社ブランドの世界観を浸透させることだ。人通りが多く、アパレルなど各業態の高級ブランドが集まる銀座や表参道に、各社の旗艦店が居並んでいるのはそのためだ。

ただ、化粧品市場は新型コロナの影響を受けた外出自粛により、顧客がメイクをする機会が減少し、厳しさを増している。資生堂の2020年1~6月期決算は売上高4178億円(前年同期比26.0%減)、営業利益は34億円の赤字(前年同期は689億円の黒字)に転落した。

「SHISEIDO」ブランドの旗艦店は新たな接客スタイルを試す場ともなっている(記者撮影)

そんな時期に資生堂が旗艦店を出店した目的の1つは、2020年に予定されていた東京オリンピックの開催などによる、インバウンド需要の取り込みだった。コロナ禍でその目論見は外れたが、同社の岡田美樹氏(プレステージブランドマーケティング部)は、旗艦店が「新しいカウンセリング方法を試す場になっている」と話す。

美容以外の分野を開拓する役割も

「ALIVE with Beauty」を掲げ、内側からの美にもこだわりを持つSHISEIDOブランドでは、美容だけでなく食事や運動などの提案も目指している。この旗艦店で提供される「スキンケアレッスン」では、肌診断の結果に合わせ、その人に合ったエクササイズ動画や料理レシピを提供している。

このレッスンを受けた客に限り、茶葉やアロマオイルを購入することができる。新しいカウンセリングを試す「トライアル店舗」としての役割を持っているのだ。オープンした旗艦店には全国から屈指の美容部員が集まっており、同分野に関する教育を特別に受けているという。岡田氏は「旗艦店で成功体験を作り、それを水平展開できている」と、旗艦店の重要性が揺るがないことをにじませる。

実際、化粧品各社の間では、最先端の技術を用いた旗艦店のオープンやリニューアルが相次いでいる。

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