資生堂、銀座の「スゴい旗艦店」が担う重大使命 化粧品は合成技術でお試し、買い物かごも不要
同じく化粧品会社でEC(ネット通販)主体のオルビスは7月、表参道に旗艦店「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」をオープンした。オルビスは売り上げの通販比率が77%(2020年1~6月期)とECに強い一方で、店舗などにおいて「商品の正しい使い方を伝えきれていなかった」(オルビス・マーケティング戦略部の小椋浩佑氏)という悩みがあった。
そこで、店舗の蛇口から洗顔に最適とされる人肌の温度のぬるま湯が出るようにするなど、正しく効果的なスキンケアを体感してもらえるように工夫した。
化粧品だけでなく「将来の体型予測」まで
8月にリニューアルした化粧品会社・ファンケルの旗艦店、「ファンケル銀座スクエア」は、化粧品だけでなく健康に関する体験型設備が充実している。同社の売上高の38%はサプリメントや青汁などの健康食品(2020年3月期)だ。実際の体験を通じて、美だけではなく健康面の新しい発見をしてもらうことが狙いだという。
同店舗では最新機器「3D動作分析センサー」を使い、将来の体型を予想した3D画像を確認することができる。センサー付きのベルトなどを装着し、数秒の動作をいくつか測定すると、2~3分で将来の体型を予想した3D画像が出る。また、現在の体の歪みや筋肉の硬さも数値化してくれる。
また、ファンケル執行役員の馬見塚陽子氏は、「情報発信の場としての重要性がより高まっている」と話す。ネットでの生中継で商品を紹介・販売する「ライブコマース」を旗艦店でも行っているのだ。旗艦店は全国から優秀な人材が集まっていることや、店舗が自由に使えることなどから、ライブコマースに最適な場所になっているそうだ。
新型コロナの影響で予想外の苦戦が続く化粧品各社。今後は新たな旗艦店での取り組みを事業に落とし込み、いち早く収益に還元できるかどうかが、各社の明暗を分ける要素の1つとなりそうだ。
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