資生堂が「業務用」バッサリ捨てる納得のワケ

化粧品の成長分野へ、真の「選択と集中」

売上高1兆円も突破し、勢いに乗る資生堂(撮影:今井康一)

資生堂が国内のホテルや旅館向けのシャンプーなどの業務用化粧品・香り商品の販売をやめる方針を固めました。すでに、この事業を担当している子会社の資生堂アメニティグッズのホームページには今年の12月末をもって営業を終了する旨が、告知されています。

この分野は価格競争が厳しい分野です。出張の多い私は、以前はホテルの歯ブラシやシャンプーなどでよく資生堂ブランドのアメニティをみかけた記憶がありますが、最近泊まるホテルでは「POLA」などほかのメーカーに押され、かなり減ってきた印象がありました。

男性の場合、スポーツジムやサウナなどの脱衣所にあるパウダールームで、懐かしいブラバスやアウスレーゼのヘアトニックやアフターシェーブローションをみかけることがあります。これらも資生堂アメニティグッズの取扱商品です。今後の展開次第ではありますが「ジムで汗をかいたあとシャワーをあびて、ブラバスのヘアトニックで爽快感を楽しむ」というちょっとした憩いのひとときも今年限りになるかもしれません。

資生堂のような大企業の経営戦略にとって、このような事業撤退はどのような意味があるのでしょうか。コンサルタントとしての視点で解説してみたいと思います。

すべての地域、セグメントで増収という「心地よさ」

わたしたち経営コンサルタント業界では、資生堂はここ数年、非常に好調な経営をしている「良い事例」としての注目が集まっている会社です。2017年度は初めて連結売上高が1兆円を超えました。日本、中国、アジア、米州、欧州とすべての地域で増収。しかも、すべての事業セグメントでの増収を達成しています。

これは会社の健康状態としては「経営者が非常に経営をしやすい状態」です。どの部門のひとたちも「努力をすれば成果があがる」という環境にあるからです。

一方で今回のように採算の悪い事業から撤退をするというのは、経営戦略の用語で言う「選択と集中」にあたります。稼げない事業はやめて、稼げる事業に経営資源を集中するという、経営戦略の基本的な考え方です。

そこでこんな疑問がわくかもしれません。「すべての事業で成長するということと、事業を選択集中するということは矛盾するのではないか」と。

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