「減塩で血圧は下がらない」医者が語る衝撃事実

高血圧ほど誤解と思い込みが多い病気はない

高血圧は正式には高血圧症といい、現代の日本で最も患者数の多い病気です。そのため、私も日常診療や健康診断で皆さんのような人とお話しする機会がよくありますが、生活指導の難しさは医者泣かせです。

「血圧? 塩分は控えめに。野菜を中心に。あと運動も大事よね」と、自分から解説してくれる患者さん。しかし、検査結果を見れば、そういう生活を送れていないのは明らかです。

テレビ、書籍、雑誌、新聞、クリニックやお役所に置かれたパンフレットなどを通じて高血圧に関する情報が大量に流れ、皆さん少々食傷気味。もはや慣れっこになっていて、まるで他人ごとのように受け止め方が軽いのです。

こういうときの私の切り札は、「いえ、必要なのは減塩ではなく、その体重を落とすことです」ときっぱり言うことです。減量カードをちらつかせると、患者さんはたいてい、「えっ、そうなんですか?」と敏感に反応します。

減塩しなきゃと思って、それなりに気をつけているんだけど、血圧はちっとも下がらない。何か勘違いしてたんだろうか?

減塩しなくてよいわけではありませんが、食事のポイントはほかにもありますし、減量と運動を避けて通ることはできません。「でもね、運動といっても、散歩がてら町内を一回りするのではだめですよ」と話すと、患者さんがぐっと身を乗り出します。「何かコツがあるんですか?」。

「塩分摂り過ぎ高血圧」はかなり減少

ひととおり説明すると、自分だけが特別な秘密を知ったような気持ちになるのでしょうか、「今日はいい話を聞きました」と患者さんは満足そうです。

そうなのです。気にしている人がこんなに多くて、情報がこんなにあふれているのに、高血圧ほど誤解と思い込みが多い病気はほかにないと思います。「血圧が上がると頭がふらふらする」。そんなことはありません。「薬は飲み始めたらやめられない」。これまた間違いです。

かつて日本は塩分の摂り過ぎによる高血圧が多く、そのせいで脳の血管が破れて起きる脳出血は長らく日本人の死因第1位でした。ありふれた病気だったために、思い込みや根拠の少ない民間療法もまた深く浸透し、根強く残っているのかもしれません。

その後、減塩が進んだことで「塩分摂り過ぎ高血圧」はかなり減少しましたが、今も成人の約半数が高血圧に悩んでいます。減塩の効果に下げ止まりが近づくなか、新たな脅威が登場したからです。

それが、食べ過ぎなどを原因とする「メタボ高血圧」です。近年、お腹の脂肪、正確にいうと内臓脂肪が蓄積すると血圧が上がることが明らかになっています。

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