「減塩で血圧は下がらない」医者が語る衝撃事実 高血圧ほど誤解と思い込みが多い病気はない

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

高血圧という病気の本当の顔も見えてきました。

一つは、高血圧はいわゆる中年太りや白髪、シワ、EDこと勃起不全、白内障、認知症などと同じく老化現象であることです。

そしてもう一つが、高血圧は以前考えられていたような独立した病気ではなく、全身の血管の壁を劣化させ、ほかの生活習慣病や老化を引き起こす土壌であるということです。

昨今、おもにインターネット上で、人の外見の変化に関して「劣化」と表現することがあるようです。年齢にともなう自然な変化をさす「老化」に対して、「劣化」は質の低下に目を向けた表現です。人が劣化することはないため、人に対してもちいるのは不適切ですが、血管は劣化して、健康と若さ、そして命をむしばみます。

傷ついた血管の回復は不可能ではない

少し前まで、一度あらわれた老化のサインを取り消したり、劣化した組織を回復させたりするのは不可能と考えられていました。

『血圧を最速で下げる 老化を防ぐ「血管内皮」の鍛えかた』(幻冬舎新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

しかし、必ずしもそうではないようです。傷ついた血管を癒やして血圧を安定させ、老化現象全般にブレーキをかけるための有望な手がかりが少しずつ集まってきています。

自分なりに健康に気をつかってきたつもりでも、30年、40年と経つうちに血管の壁は汚れて細かいキズが無数につき、硬い場所、ぶよぶよした場所があらわれて、血液の流れが悪くなっていきます。

壁の汚れを落とし、血管を休ませて傷の修復を促せば、血圧が次第に安定し、体が変わったことに気がつく日が来ます。

「最近、朝起きたときに頭がすっきりしているな」「信号が急に点滅したから小走りで渡ったけど、体が軽くて驚いたよ」「添えものの野菜すらおいしく感じるようになった」。

中高年になっても体はこたえてくれます。思い立ったが吉日です。さっそく血管の大掃除を始めましょう。

奥田 昌子 内科医

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おくだ まさこ / Masako Okuda

愛知県出身。京都大学大学院医学研究科修了。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関で30万人以上の診察にあたる。現在は産業医を兼務し、ストレス対応を含む総合診療を続けている。著書に『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社ブルーバックス)、『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)、『日本人の病気と食の歴史』(ベスト新書)、『なぜ、健康法は「効かない」のか?』(だいわ文庫)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事