日に日に暴言がひどくなり、たまりかねた田中さんは、約3年で逃げるように家を出、調停を経て離婚。
田中さんは再びシングルマザーになった。
追い詰められて
田中さんの母親は、仕事中だろうと夜中だろうと関係なく、毎日のように携帯で田中さんを呼び出した。
「母は、シングルマザーになり、家庭を支えなければならない娘の事情などおかまいなしに、ヘルパーさんや父に頼めないようなことを『今すぐ来てやって!』と私に頼むんです。私が『仕事中だから』と言うと、『わかった! もう私はあんたに見捨てられたから死ぬから!』と脅してくるので、とうとう私はうつ病と摂食障害、パニック障害になり、精神安定剤や睡眠薬が手放せなくなってしまいました」
母親は、父親には遠慮し、ヘルパーには家事や食事介助以外は頼みたがらなかったため、田中さんの携帯はいつも鳴りっぱなしだった。
「母はつねに、『自分の子どもに謝ったり感謝したりする親がどの世界にいるんだ! あんたが私の面倒を見るのは当然!』と言っていました。母は父にも、私のことをわがままだとか、子どもたちをちゃんと育ててないとか言っているようで、『お母さんから聞いたぞ!』と、父からも説教をされていました」
そんなある日、田中さんは父親と話している最中に泣き叫び、キッチンにあるものを壊すなど大暴れした後、包丁を持って父親の前に立ちはだかった。
「父は、母の介護や子育て、夫によるDVや離婚調停、シングルマザーになったことへのプレッシャーなどから私がうつや摂食障害などになったことを知ったうえで、『気持ちの問題だ! 今の若いもんは弱くてどうしようもないな、ちゃんとしろ!』と笑いながら言ったのです。
そして、私が幼少期から母との関係性に悩んで苦しんできたことを訴えても、『お母さんのことを悪く言うな! お前がわがままばかり言ってお母さんを困らせているからだろう!』とまったく取り合ってくれませんでした。さらに、次男が発達障害のグレーだったのですが、それに対しても『自分の子を障害児扱いするな!』とすべて否定して、私のことをまったく理解しようとしてくれないことに、我慢ができなくなったのです」
田中さんは、「父の目の前で死んでやろう。父が今言ったことを、私が死ぬことで一生後悔させてやろう」と思い包丁を持ち出した。
すると父親は、今まで田中さんが母親から受けてきた仕打ちの数々や、「心の病はお前の気持ちが弱いからだ!」などと田中さんを否定し続けてきた自分の言動、うつになるまで追い込んでしまったことを泣きながら謝った。
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