「嫌な上司の顔を見なくて済む」→《リモートワーク》を喜んでいた30代男性だったが、徐々にメンタルを崩し…。「在宅勤務」「出社」、それぞれの功罪

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在宅ワーカーの男性
リモートワークと出社のどちらにもメリットとデメリットがあります(写真:Graphs/PIXTA)
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ある企業で働く30代の男性社員Aさんは、コロナ禍が始まった当初、在宅勤務の開始を「人生が変わった」と喜んでいた。

朝の満員電車から解放され、静かな自宅で仕事に集中できる。嫌な上司の顔も見なくてよいし、昼休みには軽く散歩だってできる。夕方からは、ゆっくり食事をしたり、趣味に使ったりする時間もできた。

これまで味わったことのない「ゆとり」が、働く意欲を高めていた。

しかし、3カ月が過ぎた頃から、Aさんの様子は徐々に変わっていく。気づけば誰とも話さない日が増え、オンライン会議の終了後には得体の知れない疲労感が残る。チャットでのやり取りは増えたものの、雑談や相談のタイミングがつかめず、仕事の小さなつまずきが心の中に溜まっていった。

ある朝、パソコンを開こうとした瞬間、胸の奥が重く沈み、指が動かなくなった。医師から告げられたのは「抑うつ状態」。Aさんは驚きと同時に、在宅勤務の快適さの裏側に潜む影を初めて意識したという。

在宅勤務がもたらすメンタル不調

このエピソードは、リモートワークが抱える問題を象徴しています。

コロナ禍で急速に広がった在宅勤務は、当初、歓迎する声が数多くありました。通勤時間の削減、柔軟な時間管理、家庭との両立のしやすさなどメリットは数多く、趣味と両立するために地方に転居された方の話もよく聞きました。生産性が向上したという声も少なくなかったです。

しかし、時間が経つにつれ、別の側面が浮かび上がりました。顕著だったのが、“メンタル面の悪化”です。Aさんのように、在宅勤務が長期化する中で孤独感や不安感を抱える人が増えました。これは単に「家で働くこと」が原因ではなく、コミュニケーションの質の変化が引き起こしたものだと思われます。

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