家族の絆を美化する「毒親ポルノ」の怖いワナ 「まだ親を許せないの?」は言葉の暴力だ
想像を絶する親たちの所業
――「毒親」という言葉が広がりつつあります。
今回、『毒親サバイバル』というタイトルの本を出しましたが、私は「親」の本を作りたかったわけではないんですね。毒親をサバイブしてきた子ども、つらい環境を生き延びることができた元・子どもたち側に寄り添った本を描きたかった。
私自身もアルコール依存症の父親にずっと悩まされてきました。ですから、取材前からある程度は想像できた部分もあったのですが、実際に取材を重ねてみると、被害のひどさは想像以上でした。
一方的な価値観の押し付けや、きょうだいの差別、24時間ネチネチと小言を言い続ける親、パチンコのために子のお金をむしりとる親、崩壊した家庭から一人だけ逃げ出した父、子どものすべてを許すことで支配しようとする母、孫に暴力を振るう祖父……。
でも、こんなふうに言葉で説明しても、経験していない人にはそういった行為が子どもにどれだけダメージを与えるのかがイメージしにくいですよね。さらには、実際にそういう家庭で育った子ども自身も、「自分の家がおかしい、ヘンだ」ということに、なかなか気づけないものなのです。
――親だけでなく、祖父母が「毒」を撒き散らすケースもあるのですね。
おじいちゃん、おばあちゃんという存在は、無条件に孫をかわいがるものだという幻想がありますよね。でも、現実には孫を階段から突き落としたり、性的虐待ともいえる行為を強要したりする祖父母もいる。ショックでした。
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