日本初「野菜ジェラート店」に行列ができる理由 雪が積もる「鳴子」で冬でもしっかり売れる

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ただジェラートを作るだけなら資格は必要ないが、より深い知識と高い技術を持つ「ジェラートマエストロ」になるためには、日本ジェラート協会が主催する試験を受けて合格する必要がある。お店の工事、製造設備の設置などと同時進行で無事に資格を取得した大澤さんは、2016年から念願のジェラートの製造をスタートした。

コンテストでの快進撃

このタイミングで、水は鳴子の温泉水、牛乳は鳴子上原酪農牛乳に切り替えた。これでオール大崎産のジェラートを作る準備が整った。

ジェラートを製造中(筆者撮影)

翌年には、駐車場で使っていたプレハブの店舗をトラックで運び、通い慣れた「あ・ら・伊達な道の駅」に2店舗目を開いた。

ここは年間300万人を超える人が訪れる人気スポットだから、「野菜ジェラート専門店なるこりん」の知名度もグッと高まり、大澤さんのもとには、地元の生産者から「この野菜を使ってほしい」とリクエストが届くようになった。

ここから、大澤さんの快進撃が始まる。2017年、日本ジェラート協会主催の「第3回ジェラートマエストロコンテスト 決定! 日本最高のジェラート職人」に初参加。本州一の生産量を誇る地元大崎産の大豆を使った豆乳と鳴子温泉の温泉水、地元の麹で作った自家製甘酒をベースにして、わさびと花穂紫蘇、河内晩柑を合わせた「ふるさとの秋の恵みの宝箱」を出品していきなり準優勝に輝いたのだ。

勢いのある人のところには、幸運も転がり込む。翌年に開催された、「ジェラート日本選手権」。こちらは、本来なら大澤さんに出場資格はなかったが、ほかに参加予定だった人が出場できなくなり、声がかかった。

このときは、課題部門「アーモンド」と自由部門「世界でいちばん美味しいジェラート」をテーマに2作品を会場で作るという条件。大澤さんは、課題部門でアーモンドと桜を組み合わせたジェラートを出し、4位に入った。

そして、自由部門ではそのイマジネーションをフルに発揮。「前から作ってみたかった」という、ポテトサラダをジェラートで表現した「新じゃがいものジェラート~ポテトサラダ仕立て」を作ったのだ。これは、オリーブオイルとブラックペッパーをかけて食べるもので、大澤さん曰く「お食事ジェラート」。

この常識破りのポテサラジェラートは、自由部門で2位に選ばれた。その結果、課題部門と自由部門の総合得点で準優勝する。

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