日本初「野菜ジェラート店」に行列ができる理由 雪が積もる「鳴子」で冬でもしっかり売れる

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「鳴子ってすごい雪が降るでしょ。そんな雪の降るところでジェラートですか?」

事業計画書を見た担当者が、いかにもバカにしたような口調で笑ったのだ。

ほかの銀行や公庫を訪ねても、どこも似たような反応が返ってみた。それでも、諦めようとは思わなかった。

「こんなに美味しい野菜があるのに、それを伝えないのはもったいない。野菜ジェラートって面白い、食べてみたいと思ってくれる人も絶対いるはずだと思っていました。だから、もしダメだったらどうしようとは考えずに、どうしてもやりたいっていう想いだけでしたね」

この情熱が、たった1人、ある信用組合の職員に伝わった。その人の奥さんがたまたまプレハブでドックサロンをやっていたこともあり、大澤さんの計画を理解してくれたのだ。その職員が保証協会にも強烈にプッシュしてくれたおかげで、当時の保証協会のトップも応援してくれるようになり、600万円の融資を得られた。

道の駅の「なるこりん」の外観(筆者撮影)

こうして2014年、日本初の野菜ジェラート専門店を掲げる「なるこりん」がオープン。この頃はまだジェラートの製造を委託していたが、大澤さんが目利きした地元の野菜をふんだんに使用したジェラートは、地域の人たちに喜ばれた。

「鳴子に戻ってよかった」としみじみ感じた大澤さんは、「自分でオール大崎産のジェラートを作る」という当初の目標をかなえるため、もう一歩、踏み出した。

決意を固めて借りた2000万円

ジェラートを作るための専用マシンはイタリア製で、大澤さんが欲しいものは1台700万円。さらに、広いキッチンや大型の冷蔵・冷凍庫、お店にするためには、内外装の工事やショーケースも欠かせない。幸い、場所に関しては、母親が店をたたむことになり、そこを使っていいということになったが、リノベーションの費用を含めると、ざっと見積もって2000万円。再び、融資が必要だ。

しかし、このときはバカにされることはなかった。600万円を融資してくれた信用組合と保証協会が、プレハブ店舗での実績と事業の意義を評価して、もう一度、融資することを決めてくれたのだった。

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