「儲かる道の駅」と「赤字の道の駅」にある差 「道の駅成功請負人」中澤さかな氏の持論
この年末年始、帰省や旅行の際に「道の駅」を訪れる人も少なくないのではないだろうか。長旅の途中の休憩所としてだけでなく、地元の食材や名産品をリーズナブルに手に入れられることから、わざわざ道の駅を目指す人もいるかもしれない。
1991年に誕生した道の駅の数は年々増え続けており、現在では1134駅存在する。ユニークな取り組みで注目を集め地域活性化の拠点となっている駅もある一方で、全国で3割の道の駅が赤字に陥っているとの見方もある。
明暗はどこで分かれるのだろうか。山口県萩市の道の駅「萩しーまーと」を成功に導いた元名物駅長であり、「道の駅・直売所の成功請負人」として知られる中澤さかな氏にそのヒントを聞いた。
年間11億円を売り上げる「萩しーまーと」
その前に、萩しーまーとについて紹介しておこう。萩漁港に隣接した同道の駅のウリは、なんといっても新鮮な魚介類で、駅舎内には海鮮丼専門点や和食レストランなど、飲食店も3店舗入居。オープンから16年経った今でも年間約140万人が訪れ、約11億円を売り上げる。道の駅の年間売り上げの平均が2億円とされる中、これは驚異的な数字だ。2015年には国土交通省が選ぶ「全国モデル『道の駅』」6駅のうちの1つに認定されている。
その道の駅を率いる中澤氏は、全国公募で選ばれ、リクルートを辞めて初代駅長に就いた人物だ。着任してまず行ったのは、大手コンサルタント会社が立てた基本プランを白紙にすることだった。建物ばかり豪華で商品に競争力がなかったり、開業後の減価償却費が収支試算に考慮されていなかったりと、そのまま計画を進めればすぐに赤字になることが確実視されたからだ。
当初、萩しーまーとは、全国各地にある観光海産市場「おさかなセンター」をモデルとしていたが、全国10カ所の同施設を視察した中澤氏は「観光市場は平日と休日、ハイシーズンとボトムシーズンで売り上げが乱高下するため、経営を安定させることが難しい」と判断。主なターゲットを地元住民に絞り、魚屋だけでなく八百屋や精肉店などの個店が集まる「公設市場」との位置づけにした。
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