「儲かる道の駅」と「赤字の道の駅」にある差 「道の駅成功請負人」中澤さかな氏の持論
2015年に国交省が発表した資料によると、「全国年間売上額約2100億円」「全国年間購買客数約2億1000万人」(当時の道の駅登録数は1059駅)。単純に計算すれば平均売上高は約2億円ということになるが、「萩しーまーと」のように10億円を超える駅もあるので、売り上げが1億円を下回る駅も多いことだろう。
最新のデータを確認するため国交省と全国「道の駅」連絡協議会に問い合わせたところ、「温泉などの併設施設の売上高を含める・含めないなどが統一されておらず、一部推計も含まれており正確性に欠けるデータであるため公表していない」という回答だった。上記の事情により正確な数字は出せないものの、「全体の3割程度は赤字」という説も耳にする。全国を回る中澤氏も肌感覚でその位だと感じているという。
なぜ赤字に陥ってしまうのか
これについて中澤氏は「本来、道の駅の経営は、一般企業の経営に比べて楽なはずです。さまざまな補助が受けられるわけですから。それなのになぜ赤字になるかというと、やはり経営感覚がない方が駅長を担うケースが多いからではないでしょうか」と手厳しい。「赤字分は基礎自治体の税金から補填されます。行政のお荷物とならないような経営努力が必要です」
新しく開設する道の駅・直売所もハード(建物)先行で、ソフトの部分、つまりどうやってお客さんを呼ぶか、どう喜ばせるかという議論が足りていないケースも少なくない。かつてであれば、豪華な建物を建てて地元産品を置いておけば売れたかもしれない。が、今や道の駅は全国に1100以上、直売所にいたっては2万以上ある。
人を呼ぶには、「わざわざ行きたくなるような仕掛けや、キラーコンテンツ」(中澤氏)が欠かせないのである。「建物を設計するとき、総事業費の3%から5%は設計士に支払うでしょう。それと同じで、せめて1%はソフト構築に充てるべき、というのが僕の持論です」
地域の農水産物を買い支える役割を持ち、工夫次第では地域に人を呼び込む入り口にもなるが、失敗すると基礎自治体のお荷物となってしまう道の駅。過去の事例を総括し、成功・失敗法則を次に活かすべき時期ではないだろうか。
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