日本初「野菜ジェラート店」に行列ができる理由 雪が積もる「鳴子」で冬でもしっかり売れる

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大澤さんの勢いは、加速する。2019年3月、「第4回ジェラートマエストロコンテスト決定!日本最高のジェラート職人」に出場。このときのテーマは「大好きな人に食べさせたいチョコレートジェラート」だった。

大切な人へ想いを込めて作ったジェラート

大澤さんは子どもの頃からいつもおいしい料理を作ってくれて、肌荒れで悩んでいたときも温かくサポートしてくれた母・まり子さんに食べてもらいたいジェラートを考えた。

それは、天然のピンク色をしたルビーチョコレート、地元産のルバーブと、母との思い出がある桃、フロマージュブラン、地元の麹で作った自家製の甘酒を組み合わせたジェラート。大澤さんが「roots of I(ルーツオブアイ) ~私の根っこ 原点~」と名付けたこのジェラートで、見事に優勝を飾った。

ジェラートを作り始めてから3年で「第4回ジェラートマエストロコンテスト」で優勝した大澤英里子さん(筆者撮影)

日本一になったことで、大澤さんは宮城県内で一躍、時の人になった。テレビや新聞などさまざまなメディアに取り上げられ、母を連れて宮城県知事に表敬訪問もした。

仕事の幅も広がった。東北で展開している百貨店でお中元の取り扱いが始まり、催事にも出展するようになった。

同じ年の夏に開催された「ジェラートワールドツアージャパン」。優勝すると2021年にイタリアで開催される世界大会の出場権が得られる特典があり、日本全国のジェラティエーレが目標とする大会だ。ほかの大会との大きな違いは、審査員の評価と合わせて約2万人の来場者の投票も集計されること。

来場者は一般のジェラートファンだから、僕なら来場者が好みそうなものを作ってしまいそうだ。しかし、大澤さんはここで「お食事のように楽しめるシーザーサラダジェラート」を出品した。

これは、地元の鳴子上原酪農牛乳とフレッシュクリームチーズ、地元産の野菜を組み合わせたジェラートで、さらに地元で作られているベーコンを乗せ、オリーブオイルとブラックペッパーをかけて食べる。そう、大澤さんが独自で開発している「お食事ジェラート」で勝負したのだ。

大会では、やはり斬新すぎたのか来場者の票が集まらず優勝は逃したが、審査員の評価はトップで、技術審査特別賞を受賞した。

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