仕事のできない人は事実が何かをわかってない 思い込みにとらわれてると重要なことを見逃す

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私なら「おいおい、まずは会社に貢献できるようになれよ」と思うかもしれない。しかし、社会貢献がこれほど強調される時代においては、当たり前なのかもしれない。

なお、これは皮肉ではなく、たしかに個人の社会貢献意識が高まるのは素晴らしいことだ。実際に、行政の調査などでも、社会貢献活動にたいする若者の比率はあがっている。これは間違いない事実だ。

(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

もちろん反社会勢力などの例外もあるものの、基本的に会社は社会に役立つ商品を売って利益を稼がなければ存続できないようになっている。そして法人税を払う。個人も同じで所得税を払って社会に貢献する。

私は知人から何度かボランティアに誘われて一度だけ参加した。災害地にあふれる泥をすくって撤去した。まったく私は役に立たなかった。単なる足手まといだった。

いろいろな調査を見ると、ボランティアなどの活動は、社会に役立つだけではなく、個人のキャリアにもいい影響を与えていると結論づけている。だから否定するつもりはないどころか、もっと盛んになっていい。実際に社会に役立ちたいと思ったり、ボランティア活動に勤しんだりする比率は伸びている。

言行不一致の問題

しかしそれにしても、これだけ「社会の役に立ちたい」という人が増えているにもかかわらず、不思議なことに、若者の人口に占める献血者の率は下がり続けている。献血は社会貢献のさいたるものだ。血液を待っている人は年中いるのだ。さらに、いつでも、どこでも献血は可能だ。それなのに減っている。

むしろ、50代から60代が上昇を見せている。これは1999年から年齢の上限が64歳から69歳になり認知が広がってきたことがあるだろう。また、年長者のほうが献血の大事さを、身をもって知るのかもしれない。

日本人の意識は変わった。しかも、非常に興味深く変化していると私は思う。そして、支援と被支援の関係性がすぐにわかる支援に移行している。これは批判ではない。あくまで自分を中心とした、自分のやりがい。その、わかりやすい関係性。

次ページ確実に誰かを助ける献血をする若者が増えていなかった
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