ミニストップ、新契約で加盟店は本当に潤うか 収益改善に向けた「日販向上」という高い壁

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2019年頭に24時間営業の是非が問われコンビニ業界に注目が集まった。ミニストップは同年10月ごろより新契約の検討を具体的に開始した(記者撮影)

「(創業以来)40年間、適切な契約の改正をしてこなかったと反省している」。ミニストップの藤本明裕社長は、新たなフランチャイズ(FC)加盟店契約を発表する会見でそう語った。

9月25日、国内で約2000店を展開するコンビニ業界4位のミニストップは、2021年9月から運用を開始する新たな加盟店契約を発表した。

ミニストップをはじめ大手コンビニチェーンでは現在、加盟店の売上高から商品などの仕入れ原価を引いた粗利益を本部と加盟店で分け合っている。売れ残りの廃棄ロスや人件費といった営業経費の多くは加盟店の負担となる。加盟店で売り上げさえ立てば、本部の収入となるため、本部は店舗の経営状態にかかわらず一定の収益を確保できる仕組みだ。

今回のミニストップの新契約では、仕入れ原価に加え、廃棄ロスや人件費、従来は本部負担だった賃料など、店舗運営に必要な経費をすべて差し引いた利益を加盟店と本部で分け合う。ミニストップの大半の加盟店では、本部との利益の分配率は50%ずつと想定されている。24時間営業をするかという営業時間の選択権も加盟店に生まれる。現在は7年間の契約期間を更新する際に、契約期間が10年間の新契約に転換するが、移行を早めることで3~5年での転換完了を目指す。

公取委がコンビニ本部に改善要請

2019年2月に大阪府・東大阪市のセブン-イレブンオーナーが人手不足を理由に自主的に時短営業を開始して以来、コンビニ業界の潮目が変わりつつある。同年6月には経済産業省が「新たなコンビニのあり方検討会」を設置し、2020年2月に現状などについて報告書をまとめた。

今回の新契約についてミニストップの藤本明裕社長は「運命共同体のモデルにチェンジする」と強調する(記者撮影)

こうした動きを受け、ミニストップでは2019年10月ごろから新たなFC契約に関する具体的な検討を開始。時を同じくして、公正取引委員会も全国のコンビニ加盟店に調査に乗り出し、2020年9月2日には加盟店に対する本部の優越的な振る舞いを牽制する見解を示して、本部に改善を要請していた。

実際、これまでに一部の加盟店からは、廃棄ロスが増えるリスクを考えずに本部が加盟店に商品発注を求めたり、売り上げが増えていないにもかかわらず最低時給の上昇が続き加盟店の経営が苦しくなったりしていると批判の声が上がっていた。

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