ミニストップ、新契約で加盟店は本当に潤うか 収益改善に向けた「日販向上」という高い壁

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ただ今回の新契約によって、実際に加盟店の“実入り”が増えるかには疑問が残る。

ミニストップの試算によると、1店舗の1日当たり平均売上高(日販)が40万円の場合、新契約では、加盟店の手元に残る金額は現行契約と変わらない。新契約では日販が高くなると加盟店の実入りが増える仕組みで、日販50万円の場合、現行契約下と比べ加盟店の利益は15%上昇するという。

ミニストップの直近の日販は41万円(2020年3~8月期)。スイーツを中心に独自商材の投入など努力はしてきたが、日販は2012年2月期の49.3万円をピークに減少し、2015年2月期以降は42万円前後にとどまる。つまり、現状の日販の水準では、契約内容の変更だけでは、加盟店の利益は増えない。新契約で加盟店の利益を増やすには日販を大きく伸ばす必要がある。

新契約で品ぞろえを豊富にする

ミニストップの目的は、単に本部と加盟店の間での利益の分配比率を変えることではない。日販が伸びれば加盟店の実入り増加を見込めると示すことで、加盟店の経営への意欲を刺激したい考えだ。

藤本社長は「ミニストップの日販が低い理由の1つは商品量だ」と話す。店頭に多くの商品を並べると「品ぞろえが豊富だ」と客数が増加する傾向にあるが、ミニストップの弁当やおにぎりなどの廃棄ロスの金額は、業界首位のセブン-イレブンの半分程度。これまでは廃棄ロスを考慮して商品発注を抑制してきた加盟店に対し、本部も廃棄ロスを負担する一方で商品量を増やすことを期待している。

「強化する商品には『投資』しないといけない。攻めるときには攻めないと日販が上がらない。(加盟店と)一緒に投資して日販を上げていく」(藤本社長)

日販向上を重視する背景には、本部自体の業績不振もある。ミニストップは国内のほか、韓国や中国などでも店舗を展開しているが、国内外で収益力が低下。2020年2月期には、不採算店舗からの撤退を進め国内で237店もの退店を実施し、営業損益は30億円の赤字(2019年2月期は5億円の営業赤字)に落ち込んだ。それだけに、今回の新契約を契機に、どこまで日販を積み上げ、業績改善ができるかが重要となる。

とはいえ、業界首位で商品力に定評があるセブン-イレブンですら、この9年間の日販は65.5万円前後と横ばいが続いている。ミニストップの業績改善と加盟店の収益向上には、競合に負けない商品を打ち出すことが欠かせないが、その道のりは決して平坦ではない。

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遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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