「7人に1人」グレーゾーンの人が苦しい根本原因 身近な子どもが「非行少年」に変わる瞬間

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「知的障害グレーゾーン」のために生きづらさを抱える子どもたちを、どうすれば支援できるでしょうか(写真:cafe315/PIXTA) 
ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』では、「考える力が弱く、反省することすらできない少年」の存在が注目された。しかし、著者で児童精神科医の宮口幸治氏は、近著『不器用な子どもがしあわせになる育て方 コグトレ』の中で、こうした「不器用で生きづらい少年」は、少年院だけではなく「少年院の外」に多数存在し、その割合は、大人も子どもも合わせると軽視できない割合に上ると指摘する。
そんな生きづらさを抱えた子どもたちの特徴や、いわゆる「問題行動」につながってしまう3つの要因について聞いた。

非行少年は、不器用で生きづらい少年たちだった

私は現在、大学で教鞭をとっていますが、それ以前は少年院で児童精神科医として勤務してきました。そこで多くの非行少年たちと出会ってきました。

非行に走る少年と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか? 粗暴、すぐキレる、手がつけられない……。しかし私が実際に少年たちと出会って感じたのは、「意外と素直で人なつっこく、とても不器用な少年たち」といった印象でした。

不器用というのは、手先のことではありません。人の言葉や行動をゆがめて理解してしまったり、人とうまくコミュニケーションをとれなかったり、自分のイメージどおりに体を動かせなかったり……。

つまり、「生き方そのもの」が不器用な少年が大勢いたのです。そのため、少年たちも非常に生きづらさを感じてきたようでした。

学校でも子どもが「困っている」理由はさまざまにあると思いますが、私は次のようなことが原因になっているケースも多いのではないのかと考えています。

つまりIQ70~84ほどの、かつては「境界線精神遅滞(知的障害)」と認定されていた人たちが、いまの基準では支援から見過ごされやすいということです。

彼らは「境界知能(グレーゾーン)」とも呼ばれ、満足なサポートが受けられないことも多い一方で、通常の知能レベルを持つ子どもたちと同じ生活を強いられます。当然、みんなと同じようには課題をこなしにくいですし、コミュニケーションに難が見られることもあります。

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