多くの店が「シェアレストラン」に飛びつくワケ 長引くコロナ禍で続々ひねり出される"秘策"

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シェアレストランの武重氏は「もっと低リスクかつ自由に飲食業界に参入できるようになってほしい。間借りという選択肢を身近なものにするため、2024年をメドに掲載店舗数を1万に増やす」と意気込む。

一方、各家庭のニーズに合わせた料理をプロの料理人が作り置きしてくれる、出張料理人サービスを手掛けるのが2017年5月に設立された「シェアダイン」だ。

「子どもが小さいので薄味の料理がいい」「塩分が控えめな料理が食べたい」。そういった要望を事前に登録しておくと、最適な料理人が提示される。料理人は各家庭を訪問し、約3時間で4日分の食事を作り置きしてくれる。

個人に合わせて「最適料理」を提供

登録されているシェフの約7割が栄養士や管理栄養士、調理師といった資格保有者だ。療養食や妊活中のお母さん向けなど「個人に最適化された食事」も提供できる。

シェアダインの飯田陽狩CEO(右)と共同代表の井出有希氏(左)。ボストン・コンサルティング時代に出会い、2017年5月にシェアダインを設立した(写真:シェアダイン)

シェフのスキルや品数によって異なるが、利用料金は1回あたり6800円~1万5000円程度(食材費別)。このうち2割をシェアダインが、8割をシェフが得る。利用料金と食材費合計で1万円のモデルケースでは、1食あたり625円程度と、総菜や弁当を買うような値段でプロに料理を作ってもらうことができる。ヘビーユーザー向けには割安のサブスクリプションプランも用意している。

共働きの子育て世帯を中心に根強い人気を誇り、コロナ禍の4~5月の利用者数は落ち込んだが、6月ごろからは再び増加に転じた。具体的な利用者数は非公表だが、8月は前年同月比で3倍に達するという。

シェアダインは、コロナ禍で休職や失職を迫られた料理人の新たな働き口としても存在価値を高めている。4月に勤めていた飲食店から解雇を言い渡された、都内に住む30代の男性シェフは、「休業による収入減を補う必要もあるが、それ以上に料理を振る舞わないと腕が落ちてしまうということが怖い。シェアダインであれば、自分のスキルにあった料理を自由な時間に作ることができるのでありがたい」と安堵する。

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