多くの店が「シェアレストラン」に飛びつくワケ 長引くコロナ禍で続々ひねり出される"秘策"

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このシェフは現在、週3日は別の飲食店で働きつつ、空いた時間にシェアダインで副業をしている。

シェアダインの井出有希共同代表は「コロナ前は月に15人程度のシェフが新規登録されていたが、3~5月の登録者数は通常期の5倍にまで増加した。6月以降は落ち着いたが、それでも通常期の3倍程度の登録者数だ」と語る。登録シェフ数は7月末時点で800人。中にはシェアダインだけで月20万円以上の収入を得ている人気シェフもいるという。

廃棄食材をECサイトで購入

コロナ禍で急増した食材の廃棄ロスや在庫の救済サービスも登場した。

大阪発のITベンチャー「InSync(インシンク)」のサービスは、膨らむ在庫を減らしたい事業者が、廃棄されてしまう食材を同社のECサイト「Wakeari」に出品し、消費者に購入してもらう仕組みだ。通常よりも大幅に安い価格で出品されており、人気を集めている。

コロナ前の飲食店経営は客数や売り上げが予想でき、食材の仕入れ量もコントロールできた。だが、コロナ禍では客数の変動が大きく、仕入れ量も狂いやすい。在庫や廃棄ロスが増えるほど利益は下がり、飲食店の経営をひっ迫させる。

手広く宣伝広告したわけではないが、サービスを開始してから3カ月で計3500万円の取引があったといい、「飲食店や生産者がいかに苦しんでいるのか、身に染みた」(慎祥允代表)と語る。

現在、36.5万人が在籍する「コロナ支援・訳あり商品情報グループ」という、Facebook上の有志で形成された在庫支援コミュニティと統合することで合意した。その結果、国内最大級の生産者・飲食店支援ECサイトとなる可能性があるという。

帝国データバンクによると、2月29日に初めて確認された新型コロナウイルス関連の倒産は、9月30日時点で563件に達した。このうち「飲食店」の倒産件数は81件と、全業種の中で最も多い。飲食業界が未曽有の危機に直面する中、柔軟な発想ができるベンチャー企業への期待が高まっている。

中尾 謙介 東洋経済 記者

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なかお・けんすけ

1998年大阪府生まれ。現在は「会社四季報」編集部に在籍しつつ水産業界を担当。辛い四季報校了を終えた後に食べる「すし」が世界で1番美味しい。好きなネタはウニとカワハギ。

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