もちろん、この試験は小規模で、さまざまなバイアスが影響している可能性がある。追試が必要だ。また、この試験はコロナが流行する前の2017年に開始されており、BCGワクチンのコロナへの有効性について証明されたわけではない。BCGのコロナの予防効果については、豪州で医療従事者を対象としたランダム化比較試験が進行中であり、その結果が出るのを待たねばならない。現時点で、コロナ対策予防にBCGワクチンを推奨することはできない。
ただ、この手の研究成果は、コロナ流行後、多数発表されるようになっている。9月7日、メキシコの医師たちは、スイスの『アレルギー』誌に、MMRワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪)を接種後、コロナに感染した36例はいずれも軽症であったと報告した。MMRワクチンが免疫全般を活性したためと考えられている、
このような研究結果を総合的に判断すれば、今年はインフルワクチンを接種しておくほうがよさそうだ。
今年のインフル流行、楽観論は禁物
ただ、今年のインフルの流行については懐疑的な声もある。インフルは世界中を循環し、冬場に南半球から赤道を通って日本に流入する。コロナの流行のため、海外との交流が激減している日本では流行は小規模かもしれないと考える専門家もいる。現に、9月13日までの2週間のインフル感染者は7人で、例年の100分の1という。
私は、このような楽観論は禁物と考えている。海外渡航を再開すれば、インフルの流入は避けられないからだ。インフルは2019~20年のシーズンは流行していないため、日本人の集団的な免疫力は低下している。いったん流入すれば、大流行へと発展する可能性もある。そうなれば、インフルワクチンの需要が高まり、品薄になるはずだ。
日本では65歳以上の人や、60~64歳で基礎疾患を有する一部の人が、公費での定期接種の対象となっている。それ以外の人は任意接種で、費用は自己負担だ。医療機関によって異なるが、費用は5000~1万円程度だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら