通勤減った人々こそ快適なオフィスが必要な訳 リモート隆盛の今は「単に働く場所」ではない

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強い会社には“文化”がある。文化を生み出す場がオフィスになれば、みんな集まってきます。ただ仕事をするだけでなく、文化を生み出すことによって、結果的に強い会社になるのです。会社に来ると、家よりも居心地がよく働きやすい。「ここに来てよかったな」と社員みんなが思いながら働き、そこでちょっとした雑談が生まれ、仕事以外の時間でも色々な会話が飛び交い、偶発的なコミュニケーションによって、“カルチャープレイス”になっていくのだと思います。

三神:文化というものは目には見えないので非常に難しいですが、企業の個性や特徴を明確に提示し、イメージの統一を図るための戦略“コーポレートアイデンティティー”を社員に醸成させることで、同じミッションの下に帰属をしているという“共通認識”が生まれますね。

中村:オフィスというものは、ただ仕事をするだけの場所ではなく、仕事のパフォーマンスを上げるための仲間意識や絆が大事で、それがあるからこそいい仕事ができるのです。

「オフィスにデザインが要る」と言うと笑われた

中村:私がオフィスのデザイン事業を始めた2003年頃は、世の中の会社はパソコンも普及していなかったので、“いすと机さえあればいい”という状況でした。

狩野 :その頃、オフィスのデザインの需要がなかったんですね。

中村:はい。オフィスにデザインが要ると言うと、笑われていました。

会議室をガラス張りにするだけでコミュニケーションも変わってくる(写真:NHK大阪拠点放送局)

三神:確かに、当時の日本企業はどこもそっくりでしたね。当時あったのは、豪華な社長室と、役員用の重厚な会議室。働いている人たちのいすと机はみんなグレー。

中村:非常に内向きでしたね。今考えると恐ろしい時代。今みたいにきれいなオフィスが少ない中、自分のデザインした空間がクライアントにインパクトを与え喜ぶ人たちを目の前にしたとき、「こんなに人を喜ばせられるんだ」と思い、そこから本格的にオフィス専門のデザインがスタートしました。

だんだんと世の中に、「機能的なオフィスをつくろう」「社員のモチベーションが上がるオフィスをつくりたい」というような、エンゲージメント(仕事に対してのポジティブで充実した心理状態)を高めたいという変化が出てきたのです。

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