通勤減った人々こそ快適なオフィスが必要な訳 リモート隆盛の今は「単に働く場所」ではない

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狩野 :狭い家に住んでいる方や、家族が多くて後ろで子どもが走り回っている環境の方は、リモートがやりにくい。「オフィスは不要になる」という意見が少ないのもわかります。

中村:われわれも「オフィスそのものがどういうあり方をしていくのか」ということを考えたとき、「オフィスはなくなることはないだろう」と思いました。

三神:緊急事態宣言後というアンケートのタイミングを考えると、「在宅ワークをちょっとやってみたけれど、どうやら勝手が悪い」という従来のオフィスの使いづらさが出ている結果ですね。

中村:8月の後半に再度アンケート調査を実施しましたが、そのときには「環境を整えたい」という声が多くありました。

三神:不便だった環境を、より戦略的な環境に変えたくなったということですね。

オフィスそのものに、どういう役割を持たせるか

狩野 :「テレワークを実施してみて、困ったこと」についてもアンケートで聞かれたそうですね。

中村:最も回答が多かったのは「人と直接会う営業活動では物事が伝えにくい」。次に「社内のコミュニケーションが取れず、気軽に質問できない」。画面を通すと相手の気持ちが見えにくく、寂しさを感じるという“メンタル面”に関する声もあります。また、「接続方法がわからない、ネット環境によっては、リアルタイムで実際に会っているときのような呼吸で話せない」という声も耳にします。

スタジオにはゲストとして吉本新喜劇で活躍する宇都宮まきさん(いちばん右)の姿も。NHK「ルソンの壺」は関西の“キラリと光る”企業や団体を取材し、ビジネス成功の秘訣を伝える番組。最新回は9月27日(日)、NHK総合の関西地域で7時45分~8時25分放送です(写真:NHK大阪拠点放送局)

三神:テレワークによって、直接人に会うことで得られる“言葉だけではない情報”が、いかに多かったかということに気づかされました。コミュニケーションや雑談などの大切さが、コロナによって見直されたと思います。

中村:企業のいちばんの目的は、生産性を落とさないこと。その生産性がコミュニケーションの減少によって下がったという捉え方もできます。

“オフィス”そのものに、どういう意味があるのかということを、まさに今、しっかりと考え直す必要があります。

従来のオフィスは、“ワークプレイス(働く場所)”という認識がありましたが、今は働くだけではなく、オフィスそのものが“カルチャープレイス(文化を生む場所)”になると考えています。

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