私が届ける野菜!「食べチョク」女社長の凄腕 農家の娘がコロナで直面した、日本の農業危機

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国は農業の大規模化を後押しするが、高齢化や後継者不在で廃業する農家は増える一方だ。多くの農家にとって顧客は農協であり、「来年はこれを作るといくらで買う」と言われるまま、生産活動を続けるケースは少なくない。家族経営の零細な小規模農家ほど、その傾向は強くなりがちだ。

起業して間もない頃、秋元はショックを受けたことがある。地方に行くと直売所は活気にあふれ、農協が介在しない市場外流通が増えていることはデータにも表れていた。しかし、実際に農家に聞いてみると「自分で値付けできても、価格競争が激しいので叩き売りになる」という、厳しい現実を知らされたからだ。

生産地と消費地の「分断」をネットでつなげたい

意識の高い農家は、週末に都心で開催されるファーマーズマーケットに、赤字覚悟で出店する。高い出店料や駐車料、宿泊料を払ってでも、良質な固定客を捕まえるのが目的だ。

分断された生産地と消費地は、ネットならば、簡単につながることができる。だからこそ「私は誰もやろうとしない中小規模の農家を支援したい。小規模だからこそのよさがあるし、景観の維持などいろいろな役割がある」と秋元は言い切る。

思いを支えるのは自身の原体験である。実家も販路があって儲けがあれば、農家を廃業せずに済んだかもしれない。「毎年毎年、農家がいなくなっていく。食べチョクがあることで農業を続けられるようになってほしい」(秋元)というのが創業時からの変わらぬ思いだ。

ビビッドガーデンが見据えるのは、オンライン販売だけではない。「生産者支援を目的に、農家向けビジネスを手掛けたい。商品が売れるようになれば、人手や資材調達の必要性が出てくる。コストカットすると、利益が上がる農家も多いので、経営の課題の部分にも着手したい」(同)。日本の農業改革を見据え、壮大な野望を描く。(敬称略)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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