あのビバホームを買収!ホームセンター下克上

LIXILから1000億円で買う、新潟企業の正体

かねて売却が噂されてきたLIXILビバ。親会社LIXILグループとの取引関係はほとんどなかった。写真は「ビバホーム」板橋前野店(記者撮影)

まさに”小が大をのみ込む”構図である。6月9日、ホームセンターで業界11位のア―クランドサカモトは、同業6位のLIXILビバを完全子会社化すると発表した。買収金額は1085億円にも達し、早ければ今年12月にも完了する見通しだ。

「総合スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストア、100円ショップなど、他業種との競合が激しくなっている」(アークランドサカモトの坂本勝司会長)。新潟県地盤でホームセンターの「ムサシ」(38店)を展開する同社は、独立系で超大型店という特徴を持つ。大手チェーンとは一線を画す存在として、1970年の設立から外食や食品スーパー、卸売事業など幅広い事業を展開してきた。

ただ、頭打ちの続くホームセンター業態を尻目に成長を牽引してきたのは、アークランドサカモトの上場子会社でカツ丼専門店「かつや」などを運営するアークランドサービスホールディングスだ。買収発表前の5月末時点でアークランドサービスの時価総額が約630億円なのに対し、親会社のアークランドサカモトは約490億円。成長性に対する株式市場からの評価は厳しかっただけに、買収に1000億円以上も投じるインパクトは大きい。

アークランドサカモトはLIXILビバと比べ、事業規模も大きく見劣りする。「ビバホーム」は102店と、「ムサシ」の2.5倍の規模で展開する。9日の記者会見ではLIXILビバの渡邉修社長が「足元のコロナ禍(による巣ごもり消費)で業界は活性化している。新しいマーケットの変化を主導してゲームチェンジしたい」と、およそ買収される会社とは思えぬ意気込みをみせた。ア―クランドサカモト側も「ノウハウを吸収したい」と期待を寄せている。

女性支持高いカインズ、統合で拡大したDCM

身の丈以上の大型買収を決断した背景には、アークランドサカモトの強烈な危機感がある。数年前から「人口の多い都心部へホームセンターを出店したい」(志田光明取締役)と出店地を探し、2019年8月には久喜菖蒲店(埼玉県)を開業して関東初進出を果たした。が、自前で大型店を出店すると時間を要するため、事業のスピード感がネックとなっていた。

その間にも競合大手は着実にシェアを広げてきた。2020年に非上場ながら業界トップに登り詰めたのがカインズだ。群馬発祥のベイシアグループ傘下で、兄弟会社には作業着専門店のワークマンがある。「カインズ」の場合、ホームセンターらしからぬおしゃれなPB(プライベートブランド)商品の開発に定評があり、若い女性客を取り込みながら快進撃を続ける。

僅差で2位に陥落したDCMホールディングスは、相次ぐM&Aで規模を拡大してきた。傘下に「カーマ」「ダイキ」「ホーマック」「サンワ」「くろがねや」を擁し、2017年には「ケーヨーデイツー」を展開するケーヨーの株約20%を約70億円で取得、持ち分会社化している。

次ページこのM&Aで業界5位に躍り出る
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
  • コロナ後を生き抜く
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 日本と中国「英語教育格差」
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
自動車「コロナ不況」が促す<br>部品業界サバイバルの行方

コロナ危機の自動車部品メーカーへの影響は、過剰な設備と人員を抱えていた日産系でとくに深刻。比較的堅調だったトヨタ、ホンダ系も無傷ではありません。世界レベルでの技術開発競争は激化の一途で、生き残りへの再編と淘汰が始まろうとしています。