あのビバホームを買収!ホームセンター下克上 LIXILから1000億円で買う、新潟企業の正体

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前述したように、ホームセンター業界は目下、コロナ禍の余波で久方ぶりの絶好調に沸いている。なかでもアークランドサカモトは、5月の既存店売上高が前年同月比21・1%増と好調ぶりが際立つ。「戦略的にマスク調達に動いたことなどが集客につながった」(志田取締役)ことに加え、超大型店ゆえに“3密”を避けられることなども後押ししたもようだ。

各社は現在の活況を一時的と捉えつつも、「”StayHome”のライフスタイルが根づけば、DIYや園芸、ペット用品の需要は増えてくる」と希望を捨てていない。実は今回のLIXILビバの買収を巡っては、入札に複数社が参加したという。しかし、業界大手ほど出店エリアの重複を考えると、高値での買収に踏み切れなかったという事情もあったとされる。

地方のホームセンターや大手流通も巻き込むか

アークランドサカモトは生き残りをかけて、1000億円超えの買収に踏み切ったが、代償も小さくない。利益剰余金600億円を有し実質無借金経営を続けてきたが、買収資金として銀行から1000億円を借り入れることで、財務体質はかなり毀損する。買収完了後はLIXILビバと共同持ち株会社を設立、より具体的な成長戦略を練ることになる。小が大をのみ込む買収だけに、企業文化をすり合わせるだけでも一苦労だろう。

2019年8月にオープンした関東初進出となる「ムサシ」久喜菖蒲店(埼玉県)は駐車場1400台を備える超大型店(写真:アークランドサカモト)

長らく凪状態が続いてきたホームセンター業界だが、今回のアークランドサカモトによる大型買収劇が、再々編の新たな火種となってもおかしくない。地方の中小ホームセンターの淘汰がじわりと進むほか、イオンのような大手流通企業や大和ハウス工業なども、ホームセンター業態を展開している。今後台風の目となってくるのは、ずばり、オーナー系の中堅企業になるだろう。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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