三宅:ビジョンや志からアイデアが出てくるという意味ですか。
田中:そうです。「どういう会社になりたいか」が明確になれば、「どんなものを開発したいか」も、明確に出てきます。ところが昔はつねに競合のことばかり見ていた。「根っこ」を強くせず、商品やサービスだけで戦っていたのです。でも商品やサービスは、木で言えば、葉っぱや果実の部分なんですよね。
そうすると根っこが小さいままだから、そこにいろんなものを足していっても、ぐらついてしまう。「あっちの店がりんごを作り始めたから、うちも急いでりんごを作ろう」「こっちの店がバナナを作っているなら、うちも作らなければ」「そっちが柿ならうちも柿だ」というように、もう何をしたいのかわからない状態になります。
しかし、りんごの根っこからバナナは生えないじゃないですか。柿は実りませんよね。「根っこ」が決まると全部決まってくるのです。そのことに気がつきました。
三宅:「根っこ」を強くするために、社内では具体的にどんなことをやられたのですか。
田中:合宿をしました。役員5~6人と、あとマーケティングチームの合計7~8人で。
三宅:合宿して一晩じゅう徹底的に話し合ったら、新しいアイデアがポンポンと出てくるようになったということですね。合宿の前から、ひたすら自分たちの「根っこ」は何かを考えていたわけですか。
田中:考えていました。そして「こういう会社になろうよ」というコンセンサスがこのとき取れたわけです。私はその前からも「こういう会社になりたい」という「根っこ」を持っていたかもしれない。でもそれをみんなで共有できていなかった。そういう意味では有意義な合宿だったと思います。
三宅:自分たちの「根っこ」が明確で強いものになるほど、アイデアもより出やすくなるということですよね、きっと。
田中:不思議とそういうものだと思います。だからわれわれは、まだこれからいくらでも新商品のネタを持っていますよ。
(構成:長山清子 撮影:尾形文繁)
※ 続きは、5月21日(水)に掲載します
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