※前編「『根っこ』を強く JINS社長の経営論」はこちら
決断における“ゆらぎ”
三宅:2004年とか05年ごろ、弊社主催でベンチャー経営者の集まりをやっていたことがあります。確か田中さんもご出席されたと思うのですが。
田中:はい、出席させていただきました。
三宅:そのとき弊社の者が田中さんのことを見て、「センスのいい人がいるなあ」と思ったそうです。「でもすごく控えめだな」とも思ったと。ガーッと引っ張るタイプというよりは、周りを盛り上げていくタイプだと感じたそうですよ。ご自分ではどういうタイプの経営者だと思われますか。
田中:どうでしょうか。私は中途半端なのですよ。どちらか極端に寄るということが、あまりない。「オレの言うことだけ聞いていればいいんだ」というのでは、会社はうまくいかないと思うし、みんなの意見だけ聞いていてもうまくいかない。だからボトムアップとトップダウンを行ったり来たりするタイプかもしれません。
三宅:悩みながら行ったり来たりするのですか? それとも自然に行ったり来たりするのですか? 今日はちょっとボトムアップにしてみようとか。
田中:これは、私の中で「ゆらぎ」と言っているのですが、あとあと尾を引くような決断は、あえて即決しません。「この決断は2年後、3年後に響くな」というようなものは寝かせるのです。一方、「これはもうどんどん進んじゃえ、間違っていたら途中で変えればいい」と思うようなことは、すぐに決断します。
三宅:それが経営者のセンスというやつですね。
田中:たぶん、スタッフからすると、「あれ、何でこの問題については答えを出さないのだろう」と思っている者もいると思います。
三宅:「社長、あの件についてちっとも決めてくれないな。その割にこれはえらく早いな」なんて思っているかもしれないですね。その差はかなりクリアに違うわけですね。
田中:自分の中では、その振り分けは明確です。
三宅:それは直感ですか。
田中:直感とも言えますが、たぶん累積経験が大きいでしょう。いろんな痛い思いをしましたから。
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