成功している経営者は謙虚
三宅:ホームページにある社員向けのメッセージでは、「思考より試行」とおっしゃっていますが、ずっと思考しているものもあるわけですね。
社員の方に伺うと、田中社長は「指示するだけではなくて社員の意見も聞いてくれる」とか、「自分が店舗の店長だったとき、社長の言うことはぶれず、つねにお客様視点で方向が定まっているのでやりやすかった」という声がありました。それも前回伺った「根っこ」を大事にしているからですか。
田中:今はそうですが、昔からそうだったかと言われると、それはわかりません。ただやはり、働いているスタッフが働きやすい、気持ちのいい職場にしたいとは思います。ストレスフリーであればいいなと。もっともストレスがゼロになるなんてことはありえないのですが。
三宅:田中社長は雑貨屋さんをやっていた頃から、社外の人をうまく使っていくことを発想されていたと思います。今は大会社の社長になっていますが、そうなる途中の段階から、ビジネスプロデュース、つまり事業をつくってこられました。社外の人とお付き合いするとき、何か、そういうプロデュースのコツみたいなものはあるのですか。
田中:私が意識しているのは、まず自分は万能じゃないということです。人間、万能な人はいません。足りないところがたくさんあって、その足りないことを補ってもらうという意識は強いのです。
たとえば、「JINS PC」は本当に今までにない概念の商品です。パソコンのLED画面から発せられているブルーライトが目に悪い、ということが世の中で知られるようになって普及しましたが、これも当社だけの力ではなく、外部のさまざまな知見を持った方たちの協力によって花が咲いたわけです。
だからそういう意味では、自分自身が「能力が足りない」と言い始めてから、うまくいくようになったのかもしれません。
三宅:どうしてそんなに謙虚なのですか。世の中にはもっと、「オレがオレが」という社長が多いじゃないですか。
田中:どうでしょうか。ただ、本当に成功している経営者は、皆さん謙虚なので、無意識にそのように心掛けているのかもしれません。
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