本物のビジョンをもっているかどうか
田中:外に出たことがなくて、自分の小ささを知らないことや世間知らずを揶揄する表現として「井の中の蛙大海を知らず」と言いますが、実際に大海に出てみたら、井戸の中と同じくらい活躍できたということもあるのです。
あともうひとつ付け加えれば、ビジョンやアイデアを本当に持てたら、もうそれだけで成功します。
三宅:「本当に持てたら」とはどういう意味でしょうか。
田中:自分たちのビジョンを言葉にしている会社は世の中にたくさんありますが、言葉だけでなく、本当にビジョンが魂になって、物事を成し遂げようとしている会社は、ほとんど日本にはないそうです。だから私はそのビジョンが自分の中で見えた段階で、「日本を代表する企業になれるな」と思いました。
三宅:それはいつ頃ですか。
田中:2009年にビジョンを定めた段階で、日本一にはなれると思いました。ずっとビジョンを温め続けていると、進化していくでしょう。だから今は、世界で十分勝っていけるという気がしています。
三宅:モナコに行かれたのが2011年。つまり11年には世界でも勝てるという確信を得た。
田中:そんな気がしてしまったんです。やはり、こんなふうに大きい夢を見るとか、ホラを吹くとか、そういうことも退路を断つ意味で重要かもしれません。
三宅:昨年、弊社主催のセミナーにご登壇くださった方が「嘘はダメだけどホラはいい」とおっしゃっていました。
田中:私もその言葉は覚えています。その方のご発言でもうひとつまさしくそのとおりだなと思ったのは、「優秀な人間は、物事を理屈で考える」いうことです。
三宅:計算できるやつ、分析できるやつが、ちょっと出世するという話でしたね。
田中:そういう人間を毎日、変わりばんこに飲みに連れて行って、ひとり、1日につきひとつずつ、ホラを吹かせたとおっしゃっていましたよね。そういうことも重要だと思います。優秀な社員は、基本的にはまじめすぎるのです。でも昔からよく「笑う門には福来る」と言いますが、そのとおりだと思うのです。周りを見ていても、優秀とか優秀じゃないとか関係なく、やはり笑っている人は幸せな人生を歩んでいますから。
三宅:「笑え、世界は大したことはない」ということですね。元気が出ました。
(構成:長山清子 撮影:尾形文繁)
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