会社は木と同じ
三宅:つまり「見切ったうえで」、「投資して」勝ち抜いたわけですね。
田中:そうです。だから今の「JINS PC」の状況と似ていますよ。パソコン用眼鏡がヒットしたらいろいろなところ一気に類似品を出したけれど、当社はさらに投資して勝ち抜くという。
三宅:ただ売っているだけじゃなくて、ちょっと「まずい!」と思ったら、周りを見たり、四季報を見たりという工夫をされているようですね。
田中:昔からよく自分がやろうとすることに関しては情報収集します。そのためのスタッフもいますが、いまだに自分ですることもあります。ドリームインキュベータさんのような外部のプロにご相談することもあります。
三宅:ありがとうございます(笑)。ところでJINSがすごいのは、視力がいい人にも眼鏡の需要を掘り起こしたことです。洋服に合わせて眼鏡も掛け替える「アイウエア」というコンセプトや、パソコンのブルーライトをカットするパソコン用眼鏡「JINS PC」、花粉をブロックする「JINS 花粉Cut」などのアイデアは、ご自身で思いつかれたものですか。それとも何かヒントが?
田中:自身で思いつくものもありますが、私自身はアイデアの前に大事なものがあると思っています。
当社は眼鏡が何とかうまくいって、2006年に大証ヘラクレス(現JASDAQ)に上場しました。上場したこと自体はよかったのですが、その後、2期連続最終赤字に落ち込んでしまったのです。会社が厳しくなったとき、ユニクロの柳井さんとお会いする機会を得て、「志は何ですか?」と問いかけられたわけです。そのときは明確に答えることができず、非常に悔しい思いをしました。
それで思ったのは、会社というのは木と同じで根っこが大事なんだ、ということです。じゃあ、会社の「根っこ」とは何だろう。そうやって考えてみると、それが「志」であり、「ビジョン」なんですよね。ここをしっかりと強く張らないとダメだということに気づいたのです。「われわれはどういう会社でありたいか」が明確になったからこそ、超軽量眼鏡の「Air frame(エアフレーム)」があり、ブルーライトをカットする「JINS PC」があり、「JINS 花粉Cut」がありという、商品のラインナップにつながっているのです。
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