親子で気軽に楽しめる「オンライン育児」の実力 最初から中国市場を狙うスタートアップ企業も
スタートアップがオンラインで育児を助ける事業に力を入れている。育児動画メディアを運営するワンドット(東京都港区)はスマートフォンで2000本近くの育児動画を中国で配信、開始3年でユーザー数は1500万人を超えた。
一方、国内では外出機会が減った子どもに折り紙やダンスを教えるオンラインイベントが盛況だ。新型コロナウイルスの感染収束が見えぬ中、自宅で過ごす親子を支える「オンライン育児」の市場は広がりそうだ。
手軽に作れる離乳食のレシピや赤ちゃんに母乳を飲ませる姿勢の注意点、妊娠中の体調を整えるマタニティヨガ。ワンドットが手掛ける育児メディア「Babily(ベイビリー)」は妊婦や6歳未満の子どもを持つ親向けにさまざまな動画を配信する。動画の長さは1本約1分ですきま時間にスマホで視聴しやすい。
「ベイビリーに出会えたおかげで初心者ママから一歩一歩着実に成長することができた」。中国広東省で3歳の娘を育てる幼稚園教諭の林娟さん(31歳)は妊娠期から3年以上にわたって動画をフォローしている。よく見る動画はベビーフードのレシピ、絵本の読み聞かせ、DIY(手作りグッズの作り方)の3種類だ。
娘が生まれた直後は毎日泣きやまず、夜は一晩中眠れないほどだったが、ベイビリーでドライヤーの音など「ホワイトノイズ」を聞かせる方法を知り、試したところ、「娘はぐっすり寝てくれた」という。
読み聞かせ動画で絵本を30冊購入
本や雑誌を購入してもなかなか読む時間が取れなかったが、「ベイビリーは1つの動画の長さが短く、家事をしながら見られるのが便利」と林さん。新型コロナの感染が広がってからは動画の視聴時間が増えている。最近では娘が自分でベイビリーの絵本の読み聞かせ動画を見て「ママこれ買って」とおねだりするようになり、紹介された絵本を30冊近く購入した。
ワンドットは2017年に中国でベイビリーを開始。「中国版ツイッター」とも呼ばれる「微博(ウェイボー)」をはじめ、40以上のソーシャルメディアや動画プラットフォームを通じてコンテンツを配信しており、直近のユーザー数は1500万人以上に上る。
主要ユーザーは20代前半から30代前半の女性だ。「社会変化が激しい中国では世代間の情報ギャップが大きく、日本のように育児雑誌が充実していない。現在の子育て世代はショート動画を好み、育児情報もオンラインで収集する傾向が強い」(ワンドットの鳥巣知得CEO)。
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