独裁に反旗「ベラルーシ」で今起きていること 直近の大統領選を受けて国民が立ち上がった

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彼女は税務調査官からの書簡を一笑に付し、選挙戦後に警察が何千もの抗議者たちを殴りながら逮捕したのを受け、抗議活動を再び盛り上げるべくベラルーシの女性たちが白衣を身にまとって抗議するという案を出すのに協力した。

「これは経済的要求ではない」とコルトヴィッチ氏の友人で抗議活動に参加した57歳のオルガ・チェクラエヴァ氏は話す。「これは個人の尊厳に関する抗議だ」。

チェクラエヴァ氏は、もしルカシェンコ大統領が80%ではなく、もっと真実味のある、例えば52%での勝利だと主張していたなら、彼女自身も含め、大統領を批判する人々は「まぁ、それに従おう」と諦めていたことだろうと語る。

ハイテク産業の育成には熱心だった

東欧諸国でのベラルーシのイメージは、トラクターやジャガイモにまつわるものであり、ルカシェンコ大統領は、工業や農業関連の大手企業といったソ連時代の国内遺産を保護していると豪語する。しかしまた彼は、国内のハイテク産業を東欧随一のレベルにすべく、税制優遇やビザの規制緩和も承認してきた。

ハイテク産業の教育に熱心で、税制優遇やビザの規制緩和を承認してきたルカシェンコ大統領(写真:BelTA/Handout via REUTERS)

ここ何年も、オンラインゲーム「ワールド・オブ・タンクス」や、女性向け健康アプリ「フロー」などの開発会社、従業員1万人のEPAMといった、裕福で渡航経験も豊富なベラルーシのハイテク業界の人々は、基本的にはルカシェンコ大統領に対して報いてきた。

業界はGDPの約7%を占め、それによりレストラン業界の急成長も助け、概して政治からは距離を置いていた。

従業員60名のスタートアップ企業、ロケットデータCEOである33歳のダリア・ダニロヴァ氏は、長らく自分の自由が制限されるのを当然のこととして受け入れていたという。ミンスクの冬が寒いという現実と同じように。

「通常の人の生活という意味においては、自分の国に独裁制があるという事実は何の影響も及ぼしていない」と彼女は話す。「それはたぶん間違っているのだろうと理解はするが、だからといってそれに対して自分にできることは皆無だ」。

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