独裁に反旗「ベラルーシ」で今起きていること 直近の大統領選を受けて国民が立ち上がった
そして大統領選挙戦が始まり、自身の脆弱性を知るルカシェンコ大統領の考えが明るみになった。彼の主要な対立候補3名のうち、2名は逮捕され、残る1名は国外逃亡した。
「何らかの秩序があるべきだと思ったの。理解しやすくて、明確で、定式化された生活システムというものが」とオクサナ・コルトヴィッチ氏は話す。彼女は2軒の美容室と『ブルー・ゴート』というバーを経営しており、バーでは友人と集まってワインやカルバドスを飲む。「私たちはつねに何かを耐えているという事実の重大性を感じていなかった」。
報道規制に動き出したベラルーシ政府
ここ2週間のいずれの日曜日も、10万人以上のベラルーシの人々がミンスクでの反ルカシェンコ運動に結集し、逮捕や警察による暴力の恐れにも屈せず、大差で再選した8月9日の大統領選結果は捏造だと主張した。
さらなる抗議運動が8月30日に計画され、政府はニュース報道の取り締まりに動いた。AP通信モスクワ支局のジャーナリスト2名が国外退去となり、ロイターやBBCを含む7社のジャーナリストが記者資格を剥奪された。
反体制派が選んだ白と赤の国旗を持つ多くの抗議者たちは、つい最近までは政治にほとんど興味を持たない人々だった。彼らには自分たちの限界点がそれぞれあったようだ。
新型コロナがそのきっかけを作った。ルカシェンコ大統領はいかなるロックダウン措置も取ることを拒否し、コロナによる国内最初の死者について、犠牲者は体重が136キロもあったとコメントした。政府が何もしない中、国民は自分たちで活動を開始し、犠牲者の家族のための募金を集めたり、自宅勤務の人々を励ましたりした。
コルトヴィッチ氏にとっての限界点は、5月末にルカシェンコ大統領がミンスク・トラクター工場の作業員たちに、女性はベラルーシで大統領になれない、なぜなら「われわれの憲法は女性に向けたものではないからだ」と語ったときだった。
47歳のコルトヴィッチ氏は、大統領の「差別的であからさまな違法発言」についての苦情を選挙管理委員会に提出し、それをフェイスブックで公表した。