独裁に反旗「ベラルーシ」で今起きていること 直近の大統領選を受けて国民が立ち上がった
その後、彼女が尊敬する2人の人物が大統領選への立候補を発表した。銀行家のヴィクトル・ババリコ氏と、ルカシェンコ大統領の元大統領顧問でハイテク企業の優遇政策構想にも携わったヴァレリ・ツェプカロ氏だ。
ダニロヴァ氏は、ババリコ氏を候補者名簿に載せるべく署名を集め、「オネスト・ピープル(正直な人々)」という名のボランティアグループの発足に尽力し、グループは政治的見解が理由で解雇されたベラルーシの人々のために約15万ドルの寄付を集めたと彼女は言う。
6月にババリコ氏が逮捕され、少なくともルカシェンコ大統領が上辺だけは公正な選挙らしきものを装うだろうと考えていた人々は衝撃を受けた。
少なくとも3分の1の投票所で改ざんの可能性
EPAMの上級職である36歳のパヴェル・リベル氏は、それまで自身はルカシェンコ大統領を支持しないベラルーシ国民の少数派なのだと思い込んでいたのだが、ババリコ氏の逮捕で一気に目が覚めたと述べた。もし政権当局者たちが選挙の対戦候補をそれほどおそれるのであれば、おそれなければならない理由があるのだろうと彼は考えた。
コロナ禍以前には、リベル氏はほぼ半分を国外で過ごしていた。国境が閉鎖された現在、自身や多くの同業者たちの多くが「この国で起きていることに対して、はるかに注目するようになっている」とリベル氏は言う。
リベル氏はフェイスブック上で、オンラインサービスを構築するボランティアを呼びかけた。そのサービス上で投票者が自分の投票用紙と選挙区番号の写真を投稿するのだ。もしシステムが特定の投票所で特定候補者について公式結果よりも多くの票を集計したとすれば、その投票所の集計には捏造の可能性があることになる。
「昔を取り戻すために、UXは僕が立案しよう」とリベル氏は書いた。UXとは「ユーザーエクスペリエンス」の業界用語だ。
40人のボランティアが作業チームに加わり、50万人以上の人々が自分の身分を証明するために携帯電話番号を使って自分の投票用紙の写真を送信した。ルカシェンコ大統領は8月9日の大統領選で80%を得票したとして自身の勝利を訴えた。リベル氏のプロジェクト「ゴロス」は、少なくとも3分の1の投票所で結果が改ざんされた可能性が高いという結論を導き出した。